(20年プロダクトデザイン卒)Pデザイン部(16年プロダクトデザイン卒)第13回18プリンター、プロジェクター、パソコン、スキャナーといった情報関連機器や、精密機器などを手掛ける電機メーカー。 セイコーエプソンは、時計という非常に精密な機器の製造の中で、いかに無駄を省いて小型化し精度を高められるかという意思で技術を培ってきました。現在はこの「省・小・精」の技術をベースに、プリンターやプロジェクター、産業用ロボット、水晶・半導体の製品など幅広く事業を展開しています。 多摩美の卒業生には、自分の強みを生かしながらも、周りの意見や市場動向などを把握、吸収して、デザインの視点で柔軟に業務に取り組んでいる社員が多い印象です。事業領域の広い我々の会社では、ひとつの製品だけに携わり続けることはあまりありません。柔軟にアンテナを張って、デザインの幅を広げながら、それぞれの方が志向や個性を生かしたキャリアを積んでいってほしいと思っています。 入社以来、さまざまなジャンルのプリンターのデザインに携わり、現在は産業系大判プリンターを担当しています。ひとことにプリンターと言っても多くのジャンルがあり、お客様も用途も全く違います。機能性や耐久性、安全性など、複雑な条件を一つひとつ整理し、使いやすさとデザイン性を両立した製品を作っていくことにやりがいを感じています。最近、発売された大判プリンターのデザインには、入社4年目から携わりました。当初は産業用プリンターを使ったこともありませんでしたが、製品やお客様のことを理解しないと良いデザインはできないと考え、1年間ほど、かなり勉強して、いろいろな産業用プリンターを自分でも扱えるようになりました。そういう努力を続けてデザインを創りあげたこの製品には、とても思い入れがあります。 飲食店でのシーリングに使われるラベルプリンターを担当した際には、粘着性の強いラベルが外装に貼りつかないように、シリコン加工されたシート材を採用して、デザイン性と機能性を兼ね備えた製品を実現しました。このアイデアは最終的に特許化につながり、また、製品は国内外のデザイン賞を受賞するなど、世の中に認めていただく、とてもうれしい経験になりました。 多摩美では、課題やグループワークの中で今の社会人生活にも活きる貴重な経験をしました。時には人と意見が対立することもありましたが、人事部 それぞれが思い描くゴールに向けて共に切磋琢磨した日々は、設計や営業などさまざまな分野の方々と一緒に働く現在の環境と少し似ている部分もあると思います。デザインやアートについて真剣に語り合える仲間を得て、濃厚な時間を過ごした学生時代は、僕の人生にとってかけがえのないものです。 現在は、ORIENT STARとORIENTというブランドの腕時計デザインを担当しています。基本的に腕時計のデザインは、推進担当がひとりでデザインを考え、進めていくことが多いです。わくわくする反面、大変なこともありますが、先輩方に相談しながら、実践で学んでいます。弊社は「マニュファクチュール」、つまり自社で一貫して腕時計を生産する考えのもと、腕時計のムーブメント機構からケースや文字板、バンドなど腕時計に関わるすべてのデザインに携わります。商品提案から始める、0から1を生み出すことが求められ責任は重大ですが、その分大きなやりがいを感じます。ORIENT STARの商品では60周年記念モデルのダイバーウォッチのデザインを担当しました。ダイバーとしての機能性を考慮しつつ、限定モデルならではの特別感が伝わるように意識しました。腕時計は特にデザインが重要といわれる商品。発売後に販売営業からは好評だと聞き、いくつか時計雑誌にも掲載されたことは良い経験になりました。また、Moving Blueシリーズのモデルでは国内外で人気があり、実際に店頭や海外の展示会でお客様に褒めていただくこともありました。こうした反応を直接感じることができるのも、仕事の大きなやりがいの一つです。 学生時代、私は講義や教授からのコメントをよくメモに残していました。先日、実家でそのメモ帳を改めて見返してみると、当時は重要だと感じなかったことが、今になって非常に意義深く思えたりして、面白い気づきを得ることができました。業務で行き詰ったときには、当時のメモや教授がわかりやすくまとめてくれたプリントを再度確認することもあります。特に「概念をいったん忘れてみる」という教授からのアドバイスは、固定概念にとらわれがちな私に、新たな視点で考え直す姿勢を思い出させてくれました。WP事業戦略推進部 メーカー柔軟に情報や意見を吸収しながら強みであるデザイン視点でものづくりを推進してくれる存在下田脩平さん神長 聡さん菊地美紗妃さんセイコーエプソン企業の人事担当者・卒業生に聞く多摩美への期待と実績
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