19『リンネル』や『sweet』といった人気ファッション雑誌、ファッションや雑貨などの有名ブランドのグッズが付属したブランドムックⓇ、書籍などの出版事業を展開。 弊社は情報産業であり、情報を取り扱うことでコンテンツを創造し、市場に商品を流通させていくことが事業の主軸。長くファッション誌などを発行する中で、ファッションや雑貨など有名ブランドの付録付きブランドムックⓇへと販売する商品が多様化しました。在籍する多摩美の卒業生は情報感度が高く、「人を楽しませたい、物を作りたい」といったエネルギーに満ち、自分の作りたい視点に加えて、マーケティング視点、つまり、消費者がどう考えるかを含めた洞察に長けていると実感します。ものづくりの過程で「もう撤退したほうがいいのでは?」と思った企画でも、「まだあきらめません」「実現する道はあります」と、商品化まで完結させる粘り強さもあります。その踏ん張りがあるから、今まで世の中になかったヒット商品が生まれるのです。 入社後、多くのものを作ってきた中で、印象深いのは大好きだったさくらももこさんの『コジコジ』のファンブックを作ったこと。反響もあり、同キャラクターのライセンス管理をする会社から、取扱を始めたmozの商品展開について相談を受け、付録付きのムック本を作ろうと話が進みました。それが今や累計600万部。好きがつないでくれた縁が一番のヒット作品になりました。 大学時代は作品をプレゼンする機会が毎週あり鍛えられました。その経験は今役立っています。宝島社は企画会議が毎週ありますが、学生のときからの延長線に感じられ、大変だと思ったことはありません。大学の学びで大きかったのは、情報を伝えるための手法を多く学べたこと。伝える武器をたくさん手にできたことは財産です。テレビCM製作のときも「どういう15秒間にするか」と自ら絵コンテを書き、CMプランナーとも積極的に関わることができました。ゼミの宮崎光弘先生から言われた「グッとくるものを作れ」は、いまもものづくりの根底にあります。刺激に満ち、鍛錬でき、自分を解放できた4年間があるから、自信を持って仕事に向き合え、発言もやることも遠慮せずに伝えられる。胸を張って言えます。(08年情報デザイン卒)「ポケモンという存在を通して、現実世界と仮想世界の両方を豊かにすること」を掲げ、「ポケットモンスター」に関連した事業を行う。 弊社は、ポケモンをプロデュースする会社であり、世界中でポケモンが長く愛される存在であるために、さまざまな事業や活動を行っています。プロダクトやサービスの増加、展開地域の拡大、そしてメディアの多様化によって表現の幅が広がる中で、デザイナーの活躍の場も急速に拡大しています。 弊社に所属する多摩美の卒業生は、技術的な能力だけでなく深い思考をもとにデザインを構成する力が非常に高く、長く愛されるものを生み出す力を持っています。ポケモンの素晴らしい魅力を新しい世代に伝え続けていく原動力として、益々の活躍と成長に期待しています。 現在は、ゲームの世界観を伝えるためのマップアートをはじめとしたプロモーション素材の制作を担当しています。出来上がった素材はプロモーション映像やWebページなどで使用され、世界中のポケモンファンの目に触れることになります。大きなやりがいとともに、「それに値するものを作らなければ」というプレッシャーもありますが、絶対に妥協しないという決意を持って取り組んでいます。 多摩美ではデザインや制作に関して幅広く学ぶことができ、多彩な興味を持つ仲間との交流の中からもたくさんの知識や気づきを得ました。また、課題提出は厳しいレビューと指導をいただきながら、コンセプトワークの重要性を深く理解することにつながりました。こうした経験は、現在、多岐にわたるジャンルのデザインに携わる上で大きな助けになっています。(21年グラフィックデザイン卒)本記事は連載企画です。さらに詳しい内容や他企業情報はWebでご覧になれます。常務執行役員管理本部 本部長/ポケモン×アート推進室 担当デザイナー執行役員コンテンツ&プロダクツ局局長 コンテンツ&プロダクツ局 第1部部長第1編集部編集長出版エンターテインメント多摩美出身者は、ビジネスの最前線からどのような評価を受けているのでしょうか。また、その卒業生たちが学んだ多摩美での4年間は、ビジネスの現場でどう生かされているのでしょうか。さまざまな業界で活躍する企業人たちに尋ねました。アイデア力やマーケ視点に加え商品を世に出す粘り強さが新たなヒットを生み出している藤定修一さん皆川祐実さん深い思考と愛着を持ってデザインの可能性を広げ、未来を切り開く存在に田中雅美さん永山高輔さん宝島社ポケモン
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