2023年にBankARTで上演した『脱皮的彫刻』をベースにしたもので、学生たちが石膏を塗り固められていく過程と、詩の朗読を上演しました。独白を担当した6名は彫刻学科以外の学科から集まっていて、彼らのように、専門分野の枠を超えて活動しようとする学生は増えています。そういった混在とグラデーションこそ、この試みの面白さだと思っています。既存の学科・領域の枠には収まりきらないエネルギーをBLUE CUBEに投入することで、何が生まれるのか。プロジェクト単位、あるいは場所単位で境界線を越え、様々な要素と触れ合うことで、BLUE CUBEが新たな象徴となる可能性を秘めていると感じています。「反復する壁」にパフォーマーとして参加しました。内容は、白い服をまとった学生たちが、自分のタイミングで板を床に落とし、BLUE CUBE内の音の響き合いを作り出すという実験的な「反復する壁」「脱皮的彫刻」03試みです。セッションしていく中で、身体的な表現の面白さを感じましたね。もともと足立智美先生の講義を受けてパフォーマンスアートには興味を持っていましたが、今回のパフォーマンス学科を超えてBLUE CUBEで行われた「脱皮的彫刻」と「反復する壁」の2つのパフォーマンスは本当に刺激的で、参加できてよかったです。普段は油画の作品を作っているのですが、パフォーマンスを経験したことで、絵画自体の表現方法にも広がりが出てきそうです。 足立智美さんには学生の演出もお願いし、映像とクロスオーバーする作品を上演しました。映像作品のひとつは人類史上初の逆回転上映された映画『壁の取り壊し』。ふたつ目は、私が20代の頃に制作した『フーガの技法』。この作品の主題もまた「反復」や「反転」ですから、これから新たに生まれ変わる建築物を祝福するような思いがありました。その空間において、メディアを横断しつつ究極的には身体が表現の核になると確信できるようなパフォーマンスとなったと思います。BLUE CUBEは、こうした総合芸術的な考え方で様々な表現を交差させ、受け入れるだけの大きさがあるのではないでしょうか。参加学生の声パフォーマンスで得た刺激によって絵画表現にも広がりが出そうです彫刻教授 高嶺格先生油画教授 石田尚志先生油画 2年小林純奈さん場の力とパフォーマンスが引き出す学生たちの心の声Program 1ユニークな場から生まれた越境的なパフォーマンスProgram 2
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