06 初代芸術学科長で、美術評論家の東野芳明先生が担当していた「20世紀文化論」という講義を2000年代に蘇らせたのが、「21世紀文化論」です。講義では、文学、音楽、美術、芸術、建築、身体表現、AIアートなど多彩なジャンルの第一線で活躍する表現者の方々を招いて、芸術が生まれる現場での体験を語っていただきます。ゲスト講師は、専任教員が「今一番話を聞きたい人」を選ぶようにして 株式会社クリスティーズジャパン代表取締役社長である山口桂さんの講義では、オークションハウスであるクリスティーズの事業内容をはじめ、出品作品にまつわるエピソードや、オークションの利用方法、また、日本のアート市場活性化に向けたインバウンド誘致や税制の見直し、美術教育などの必要性についてお話しいただきました。アートを研究/制作している多摩美生にとっては、アートとビジネスの両方を併せ持つオいます。これまで小説家の村田沙耶香さんや川上未映子さん、美術家の横尾忠則さんを招いたこともあります。 目的は、芸術学科を幅広い芸術表現がクロスする交点と位置づけ、学生たちに広く芸術を捉える視座を提供することです。一般の人たちに「芸術とは何か」を伝えるためには、さまざまな芸術の経験を積む必要があります。表現者たちが語る生身の現場の声は、この経 美術家の中ザワヒデキさんが、草刈ミカさんと主宰している「人工知能美学芸術研究会」(AI美芸研)の第45回として、公開授業となった本講義。テーマは、「人間/AIの美意識」で、表現技術そのものが意識を持って自立した場合について考えました。講義前半では、AIブーム上の歴史的な事象を紹介しながら、現代のツールとして注目を集める「大規模生成AI」の話題や、将来、美意識や自意識を持つ、人ならざる“他者”としてのAIが登場する可能性について、お話しいただきました。またークションの世界について理解を深めるとともに、アートとの関わり方やこれからの市場の行方を考えるための、重要な講義となりました。験に値するものです。学生たちは、講義で受けたさまざまな刺激を自分なりの「言葉」にしていきます。新しい芸術を伝える言葉を鍛え上げること。それが21世紀の表現者になることだと考えています。そのため、講義自体も時代に合わせて刷新を続けています。後半では、中ザワさん、草刈さん、芸術学科 ・小川敦生教授が登壇し、会場からの質問も取り込んだ、全体討論が行われました。講義22クリスティーズの事例からアート市場を知る山口桂「オークションの世界とその舞台裏」講義 11アートツールとしてのAIの現状と可能性中ザワヒデキ「第45回 AI美芸研「人間/AIの美意識」」2024年6月29日2023年7月15日文学、音楽、美術、建築、デザイン、身体表現など幅広い芸術表現の交点になるのが芸術学科。さまざまな刺激を自分の言葉に置き換える力は、学科を超えて創作力の視点を増やすチャンス。芸術学科長安藤礼ニ先生芸術が生まれる現場を言語化する芸術学科特別講義「21世紀文化論」特別講義3芸術理論を深化させる
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