07 戦後を代表する作家・大江健三郎から「文学」「言語」「作品」を考える講義。文学研究者の菊間晴子さんには、複数の作品で同じテーマを取り上げるなど“書き直しの作家”である大江の「主題の書き直し」と「表現の書き直し」、そして大江が書き直し続けた主題のひとつである「魂の救済」について、お話しいただきました。 講師である美術家の森村泰昌さんからの、「学生たちは日々、何を考え、何に興味を持っているのか?」という問いかけと、「何かに対して疑問を持つことは、その人の人生の指標となる」とのご提案から、講義は質疑応答を軸とした構成になりました。 学生からは、森村さんの作品制作のきっかけやプロセス、セルフポートレイト作品における“作家の自我”と“テーマとする人物”の境目について、また、絵画と比較した写真や映像表現の位置付けといった疑問が寄せられました。 装丁家の川名潤さんと水戸部功さんによる実演と、トークセッションを交えた特別講義。実演では、おふたりの即興デザインをライブビューイングし、トークセッションでは、制作された装丁について両名が検討し合いました。作り手の意図を言葉として捉えながら、同時にその考えがデザインとして立ち上がっていく、学生にとって貴重な体験となりました。M式「海の幸」第9番:たそがれに還る/ 2021年 カラー写真、透明メディウム2024年11月14日 3名の建築家による講義は、展覧会の会場構成や設計に携わる建築家でありながら、それぞれ着目するポイントや実践内容に違いがあるという佐藤さんの見解から始まり、各々がどう展覧会と関わり、個性や違いがどこで現れるのかに注目して、広がっていきました。イラストやタイポグラフィを組み合わせた平面作品を制作している私にとって、この講義は貴重な機会でした。序盤から文字のフォントを細かく調整する水戸部さん、先に写真や文字を大胆に配置する川名さんと、おふたりのアプローチの違いを知ることができました。“余白”を残すことでデザインの過程が見えるようにしているお話など、すぐに自分の制作に活かしたいと思える学びが溢れていました。講義33ノーベル文学賞作家の作品から「文学」を考える菊間晴子「文学とは何か大江健三郎をめぐって」講義55質疑応答を軸とした学生との交流 森村泰昌「M式・美術応答セヨ!」芸術学科特別講義装丁をその場で行うことで装丁の可能性を探る川名潤と水戸部功がその場で「装丁する」90分講義44建築家の視点で語る「展覧会」佐藤熊弥<西澤徹夫<青木淳「展覧会をつくること」参加学生の声グラフィックデザイン3年小林夏希さん2024年9月28日2021年10月16日2024年11月16日プロのデザイン作業を間近で見る貴重な経験創作力を拡張する学科を超えた授業
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