名前からものを作るワークショップ(宮⽥陵平、佐野七瀬、藤岡ひかる、倉橋涼太)課題例=「⼀つのテーマに基づく写真作品(提出形態は ZINE、PHOTO BOOK、A4プリント10枚の三択)」 多摩美で開講される授業の⼤半は、教員の⼀⽅向的な講義ではなく、学⽣が⾃ら主体性を持って取り組むスタイルです。デザインについて「その本質は、社会や⽣活の中にある問題を解決するための考え⽅である」と、菅講師は指摘します。統合デザイン学科が⽬指す学びは、メディアや専⾨分野にとらわれずに物事の問題を捉え、それを論理的に分析し、視覚化して伝える⼒と、ものとして具体化し実在させる能⼒に⻑けたデザイナーを育てることにあります。 そのためには、⼤本の問題を⾒つけ出し、分析・思考する⼒がもっとも重要です。菅講師の授業では特に、世界をどう捉えどう⾒るかという「観察する⼒」と「考える⼒」を鍛えることを、⼤事にしています。「クリエイティビティとは才能だと思われがちですが、思考技術を持っているかどうかだと思います。 つまり、トレ ー ニ ン グ が 可 能 な 領 域 な の で す 」と語る菅講師の、ワークショップ形式で展開されるユニークな授業をご紹介します。 「まず名前だけを⾒せて、そのイメージからものを作ったらどうなるか?」。これは、3年⽣が課題の⼀環として開発した、⾔葉から連想されるイメージの定義を探るワークショップです。まず参加者に「しゅっつりん」という架空の名前を⾒せ、何を連想するか聞いていきます。次に、参加者が抱いた洗剤や⼈名といったイメージが、なぜ出てきたのか、その理由を分析します。 例えば「シュッ」という部分は素早い動きを⺬す擬統合デザイン学科 授業レポート名前からものを作るワークショップ架空の名前「しゅっつりん」とは 何か?統合デザ イ ン学科学⽣アンケート 放課後、課題制作などで校内に残っていた統合デザイン学科の学⽣に、「好きな授業とその理由」についてアンケートを⾏いました。その回答の⼀部をご紹介します。⾳ 語 であったり、「リン」という部分は多くの洗剤の名前に使われていることから、架空の名前でも既存の⾔葉を⼿がかりに理解していることがわかります。 そして最後に、「しゅっつりん」という名前からイメージしたものを、実際に作ってみます。 このようなワークショップを設計・実施することで、⼀連のプロセスを通じて、⾔語と⾮⾔語の境界線を⾏き来するコミュニケーションに潜む、新しい問題の発⾒⽅法を学びます。メディア技術概論 担当教員=中村勇吾・菅俊⼀「デザインとは何か」を理論から学ぶ。創作のプロセスや創造とは何かを、⽣活の変化や⽂化の差異、歴史、過去の論説などを分析しながら理解、把握する。さらに、思考の抽象を如何に具体化し、顕在化させるかを様々な事例から多⾓的に分析し、Design Embodiment の意味を理解する。「統合デザイン論は、感動するほどおもしろいと感じています。先⽣の仕事を実例として学べるので、イメージ の ストックが 増 え 、デザインへの視点が拡がります。また、先⽣⽅のプレゼンを⾒ることで、プレゼンの仕⽅も学べます。」(U.Tさん )映像/コンピュータ/インターネットを題材に、各メディアの基本的な成り⽴ちや在りようを理解し、これらを舞台とした表現・デザインにおける技術的、技法的な展開を概観することで、新しいメディア表現を探求していくための視座を得る。「⽇常、何 気なく感じている カッコイイや 美しいという感 覚を⾔葉で説明してくださいます。授業で視聴する映像が、YouTubeのお笑いからかっこい MVまでバラエティに富んでいて興味深いです。」(S.Yさん )統合デザイン論Ⅰ 担当教員=深澤直⼈・佐 々 ⽊ 正 ⼈ REPORT 1菅俊⼀(統合デザイン学科 講師) 研究者/映像作家。慶應義塾⼤学⼤学院政策・メディア研究科修了。2014 年までピープル株式会社にて乳幼児向け知育玩具の企画開発に携わる。⼈間の知覚能⼒に基づいた新しい表現の在り⽅を研究し、映像や展⺬、執筆など様々な分野で活 動を⾏っている。NHK Eテレ「0655/2355」ID 映 像、21_21 DESIGN SIGHT「アスリート展」ディレクターなど。写真史の理解とデジタルフォトの撮影⽅法とプリント技術の習得。各⾃の作品の撮影が出来る基本的な照明を⾝につける。またポートフォリオのプリントの質を⾼める知識を習得する。「カメラの使い⽅から丁寧に教えていただいています。」(T.Aさん )デザインベーシック(描写)Ⅱ(写真)担当教員=伊藤之⼀・諏訪光⼆4 あなたが好きな授業は?問題を発⾒し、分析・思考する⼒を伸ばす体 験 型 授業
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