©2017 Niantic, Inc. ©2017 Pokémon. ©1995-2017 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.「フレンド機能」ポケモン交換できる画面。「デザインと開発に携わりましたが、難しかったのは、ゲームバランスとのさじ加減です。どれほどのバランスでプレーヤーがやりたいことを満たすことができれば、モチベーションを下げずストレスを感じずに続けてもらえるか。どこまでだったらいいのかと、日本のオフィスでディスカッションを重ねました。」ココからゲームが生まれる世界同時公開が基本。だから議論が大事Nianticは、世界中からデザイナー、エンジニア、プロダクトマネージャーが集まり、最初から世界同時公開を想定してモノ作りをしています。その時に、多国籍のデザイナーがいる環境が凄く重要なんですね。というのも、例えば僕がアイデアを出した時、各々「インドだったら」「フランスだったら」と、瞬時に自国をイメージするわけです。その議論によって、アイデアの問題点や文化の差で起こりうる課題を解決し、早く次へと進める。『Pokémon GO』は実際に人を動かすゲームである以上、安心・安全に使って頂けるよう責任は非常に大きいです。ちょっとでも気を抜いたり甘いデザインをしてしまったら、数千万、数億のユーザーに影響を与えてしまうかもしれない。だから議論は本当に大事です。クリエイターを目指す後輩たちへ5ユーザーが体験すること全体を見る仕事周りが続々起業したスタンフォード時代渡米後に感じた多摩美での経験の重要性『Pokémon GO』のUXデザイナーのリーダーをしています。UXデザインとは、「どんなサービスやモノがあったらユーザーが喜ぶか」というアイデア出しから始まり、エンジニアリングの部分も十分理解した上でデザインに落とし込んでサービスを実現させ、さらに、そのサービスがちゃんと稼働し製品として成り立っているかの確認作業まで、全てのフローにおいて責任を持つ仕事。様々なスキルと経験値が求められます。ですので僕としては、「UIデザイナー」ではなくて、全てを見渡しユーザーエクスペリエンス全体を見ている担当者、というような自負を持って仕事をしています。急激にデジタルの領域が拡大していった高校時代、自分が今後この新たな領域でチャレンジするにはと考え、情報デザイン学科に進学しました。また、入学後はYahooやGoogle、Amazonといった、世界でヒットしている新たなサービスはなぜシリコンバレーから生まれるのかと、世界に対し強く興味を持っていました。3年生の時、当時非常勤講師として来られていた篠原稔和先生に、ぜひ海外へという助言を頂いたことが後押しとなり、スタンフォード大学で学ぶ決心をしました。当初親友たちは心配して反対したし、僕自身も不安で眠れないような日々もありました。でも、他の人と同じことをしていたらその先に新しい道はないと思ったのです。スタンフォード大学の特性でもありますが、そこにはビジネスを勉強する学生と、エンジニアの学生、そしてデザインを学ぶ学生がいて、3者バランス良くチームが組まれます。そのような環境の中どんどん起業していくんです。実際に、60名くらいのクラスで行われたFacebookのサービスを考えるという授業から、5社ほどが起業しました。僕も当時ある学生に、「今度起業するから、その時はデザインを手伝ってね」と話しかけられたのですが、そのサービスが今のInstagram。そのぐらいダイナミックだったんです。情報デザイン学科に入学したばかりの時、常にチームワークやコラボレーションを求められたことに、正直戸惑いました。自分はデザイナーになりたくて来たのに、どうして自分の好きなことができないのか?と。ところがアメリカではより強く協業を求められ、驚きました。スタンフォード大学での最初の授業でスペースシャトルが打ち上がる写真を見せられ、「この事業には何千人という人の力が関わっている。一人ではできない、これがコラボレーションの力だ。これから君たちはコミュニケーションを取り合って、チームでプロジェクトを進めていくのだ」と。大学でも社会に出た今もそうですが、世界中から集まるデザイナーの中で、自分の思いや考えを主張する必要が出てきます。特にNianticは少人数体制なので、ちょっと気を抜くとプロジェクトが滞ってしまうことが多々ある。少しでも違うと感じたときには、周りを説得しチームをまとめていかねばなりません。もし多摩美でのあの4年間の経験がなかったら、僕の今はなかったと思います。僕が卒業した頃にはスマホはまだ世になかったように、これからみなさんが携わっていくデザインは、まだ世の中に存在していないものの可能性が非常に高い。なので現在の技術にとらわれず、そして世界に視野を広げて、デザインに取り組んでほしいですね。現実とデジタル領域の世界がますます近くなり、さらにどう近づいていくかというところに、次のデザインエリアがあるように感じます。いま弊社では、ARに取り組んでいて、僕も可能性を感じています。「やっぱり顔を合わせることが大事」と語り、ほぼ毎月渡米しているという、石塚さんの普段の会議風景。「レイドバトル」画面。「時間になると、ジムという闘う場所に強いポケモンが現れます。そこに集う人たちの交流を見るのが、うれしい瞬間です。」石塚尚之=卒業後、スタンフォード大学客員研究員に。その後Googleに入社し、日本語入力やGoogleモバイルマップを手掛ける。2016年Niantic入社。「レイドバトル」「ポケモン交換」といった新たな機能を手掛け話題に。Niantic 石塚 尚之さん 06年情報デザイン卒多摩美からスタンフォード、Googleを経て国際色豊かな職場で世界的ゲームのUXを担当Pokémon GOUXデザイナー
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