TAMABI NEWS 79号(課題発見力・漫画家特集)|多摩美術大学
6/16

大学との連携事例 2018.04〜│昭和大学=三橋幸聖講師、渡部喬之講師、鈴木久義教授、鈴木憲雄教授 連携学科=プロダクトデザイン〈大橋由三子教授、山本秀夫非常勤講師、重野貴非常勤講師、安次富隆教授〉 博物館との連携事例 2016.09〜│連携学科=情報デザイン〈楠房子教授〉6式でおさらいできるツールや、筆談やメモができ、持ち帰りもできるイラスト付きパンフレットなどを、実際にろう学校の中学生に使ってもらいました。成果発表には、ろう学校の先生方や博物館関係者など多くの方が「参考にしたい」と見学に訪れました。「非常に高い関心と社会からの期待を感じています。今後も複数の専門家が一体となって、研究は継続されます。(楠先生)」この授業後、卒業制作として動物園に展示の支援を提案する学生もいるなど、取り組みが広がっています。左=『アウトドアウェア』プロダクトデザイン3年・釣谷淳さん 右=『雨具』プロダクトデザイン3年・谷川原結衣さん両作品とも、片麻痺を想定し、片手で脱ぎ着できるよう工夫されています。最終プレゼンでは片手で装着する様子を実演しました。題解決のために合同で取り組む連携授業を行いました。6月に行われた病院見学では、実際に自助具の必要な在宅生活を送っている方から、生活の中で困っていることをヒアリングし「室内移動の際に■の置き場がなく、立てかけてもすぐに倒れてしまい、何度も身を屈めて取らなければいけない」という日常動作の課題が挙がったことから、この課題を解決する道具を、両校混合のグループで検討。出されたアイデアを元に、昭和大学の渡部喬之先生が「吸盤と粘着材を組み合わせ■に固定できるもの」を作り、それを■につけたところ、「どんなところにも安定して使えるため、非常に良い」と喜ばれ、そのまま自宅で利用頂くという成果を得ました。機能改善だけでなく心理面まで考慮した提案7月に行われた成果発表会では、多摩美の学生がおのおのの作品を映像やパネル、試作品で実演しながらプレゼンしました。日常生活の困難さから引きこもりがちな方も外出するのが楽しくなる自助具の提案や、身体的機能が制限されたなかでも扱える楽器や財布の提案、モノではなく行動のシステムを変えることで心理的負担を軽減する提案など、多様なアイデアを披露。昭和大学の鈴木久義先生は「私たち保健医療専門の人間は難しい』と、多摩美に期待されて始まった取り組みです。しかし本学には、例えば聴覚が不自由な方に映像で説明するとき、それに適したフォントやスピードの値はいくつ、といった専門的なことへのノウハウがありません。そこで神戸大学人間発達環境学研究科から科学教育分野を、筑波技術大学から聴覚障がい分野の指導を仰ぎながら研究が進められました。実用性を図るため、東京都立■飾ろう学校の中学1年生にも協力してもらいました。(楠房子先生)」制作の対象としたのは、展示物を実物標本や模型で紹介する『モノ語りワゴン』。実際に科博で行われている展示物ですが、口頭説明のサービスで聴覚障がいのある方には不向きのため、「ビジュアルの力で説明できないか」というのが今回の課題でした。学生たちは、ただ伝えるだけでなく、楽しく、さらに興味をかき立てる仕組みを提案。動画による説明はもちろん、模型を使って触りながら理解させたり、学んだことをクイズ形病院見学や自助具の体験を通して対象者に寄り添う昭和大学と本学とは、2016年10月に包括連携協定を締結して以来、積極的な連携活動を行っています。その一環として、昭和大学保健医療学部作業療法学科の授業「身体障害作業療法技術論」に、プロダクトデザイン専攻の学生が参加。病院の見学や障がいのある方へのインタビュー、実際に使われている意思伝達装置や麻痺の残る方のための自助具(福祉用品)を使った調理を体験したり、医療の専門的な見識を深めるなど、課聴覚障がい者にも楽しめる工夫が実用化東京五輪開催を目前に、障がいや能力の差を問わず利用可能なユニバーサルデザインへの意識が各所で高まっています。こうしたユニバーサルな展示手法の必要性を急務としている国立科学博物館(以下、科博)学習支援課からの声掛けにより、情報デザインコース3年の14名が「社会デザイン」のゼミで「聴覚障碍がい者をユーザーとした博物館の展示を支援するコンテンツの制作」に取り組みました。「科博から、『専門家として伝えることはできるが、表現障がいのある方に向けた展示方法の提案国立科学博物館医療現場の課題をデザインで解決する試み昭和大学人の気持ちをすくい

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る