TAMABI NEWS 80号(世界と戦うチカラ<グローバル>特集)|多摩美術大学
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7「ON PAPER」とは別の取り組みとして、今年8月に、絵画学科5名(油画院2名、版画、日本画、彫刻各1名)がタイ・ナコーンパトム校舎に招待され、レジデンスプログラムとして約10日間、ラオス、ベトナム、タイの学生と協働制作し、成果展を行いました。このように、国際的な実践の場は多岐にわたります。『Listell』 曹永紗世さん 自動的に音声を記録することで訪問介護の現場をサポートする、AIスピーカーならぬAI「リスナー」。このとき質問に立った学生は、次年度に交換留学生として行く予定です。2017-2018年2017-2018年海外で活躍できることが真の国際化であるという考えのもと、海外のコンペティションに対応した教育を進めてきた(P.10-11参照)結果、大きな国際コンペでの受賞や海外企業での採用が次々と実現しています。「デザイン界におけるオスカー賞」ともいわれるドイツのiFデザイン賞には、才能(タレント)賞を受賞した17年に続き、今年卒業したプロダクトデザイン・曹永紗世さんが卒業制作作品で受賞。他にも2017年、米国・ニューヨークのデザイン系情報サイトCore77が主催するCore77デザイン賞の学生部門賞や、韓国のアジアデザイン賞を受賞する学生が出るなど、卒業生のみならず、在学中の作品から海外コンペでの映えある受賞が続いています。テキスタイルデザイン専攻の学生9名と、フィンランドのアアルト大学デザイン学科ファッション専攻の学生3名による交流プログラムイベント“Discovery in Process”が、21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3にて開催されました。両校学生の作品を展示、発表したほか、プロフェッショナルを交えたパネルディスカッションを通じて、両国の相互理解と文化交流を深めました。同校の教育の実情が紹介され、質疑応答では、挙手した学生全員が英語で質問をするなど、グローバル意識の高さを印象付けるイベントとなりました。講義後には本学学生の作品を鑑賞するなどして交流しました。本学最初の海外協定校であるタイ王国シラパコーン大学とは、絵画学科教員を中心に36年間、さまざまな交流を深めてきました。2012年にスタートした「ON PA PER」は「紙」をテーマにした協働のプログラム。絵画と彫刻領域における教員および大学院生の合同美術展やワークショップを行っています。初回は油画の学生を現地へ派遣し、協働ミーティングやリサーチのもと「Paper boat」を制作しました。同年、学内に紙漉き工房が完成したのを機に、その翌年には本学にてタイの紙と日本の和紙を溶解したのち「紙」として再生させる試みが行われ、教員や学生がその紙で制作した展覧会も開催されました。今後もファインアートにおける国際的な取り組みとして、新たな交流プログラムが予定されています。また、インテリアブランドのアルテックが主催したフィンランド独立100周年の記念イベント「FIN/100」では、アアルト大学で学んだ卒業生・在学生計4名が「若きテキスタイルデザイナー達のフィンランド留学体験」をテーマに、フィンランドで学んだことや日本との違いなどを滞在中の思い出を交えながら語りました。また次年度にも、新たな交流を予定しています。2017年に、スウェーデンの老舗インテリアファブリックスブランドであるSvenskt Tenn(スヴェンスク テン)が主催した“Ten Textile Talents”に、18年テキスタイルデザイン卒業・宇都宮琴音さんと、18年大学院テキスタイルデザイン修了・鵜戸春花さんが参加しました(参加時は在学中)。本企画には世界から5大学が招かれ、各2名ずつが参加。アジアからは唯一本学だけでした。さらに、そのなかから本学の2名を含む3名の作品が選ばれ、ファブリックやソファカバーなどに商品化されました。2018年10月にSvenskt Tenn本店で開催された、スウェーデンと日本の国交150周年イベントでも宇都宮さんの作品(カーテン)がディスプレイされるなど、今年も国際的な展開を見せています。アメリカ屈指の名門美大として名高いロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)から教職員が来学し、グラフィックデザイン学科の学生向けに特別講義が行われました。世界の一流美大における教育に触れられるとあって、会場は200名を超える学生で埋め尽くされました。講義では●アメリカ● ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン特別講義│2017年6月      ●フィンランド● アアルト大学との交流│2017年12月      ●タイ● シラパコーン大学との交流│2012年3月、2018年8月      海外の老舗インテリアブランドで学生の作品が商品化学生が国際的な受賞や世界的企業での商品化を実現「デザイン界におけるオスカー賞」に連年受賞同じ領域で交流し、専門性を高める紙に着目した素材研究で合同展世界トップ美大の講義に200名

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