TAMABI NEWS 82号(アニメ-ションの可能性特集)|多摩美術大学
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12多摩美の伝統と特性を生かした 大学文化の創造を目指して学校法人多摩美術大学ツなども含む「アート」が加わったものとなります。そういう方向に変わりつつある。一方、日本の大学事情はもっと深刻な状況にあると私は考えています。戦後から2000年を超える頃まで日本では工学部が主導でした。いわゆる、ミッション・オリエンテッド・アプローチ(理念重視志向)な学問が先導し、工学部の人たちは“ものづくり立国日本”を旗印に日本を牽引しようとしました。ところが、90年代に入るとものづくりにおける日本の国際競争力が衰退していることは誰の目にも明らかだったにもかかわらず、─本年度から理事長に就任されましたが、日本の大学の現状を踏まえ、多摩美術大学の課題ならびに未来を、どのようにお考えでしょうか。青柳 これまで東京大学などに身を置く “大学人”として過ごしてきた中で思うことは、いま大学は大きな転換期を迎えているということです。世界的に見ても、アメリカや日本、イタリアなどは、ドラスチックな変わり目にあります。例えば、アメリカでは2000年代に入ってから政府が『STEM教育』という施策を打ち出しました。これは、サイエンス(科学)・テクノロジー(技術)・エンジニアリング(工学)・マスマティックス(数学)の頭文字をとったもの。つまり、理科系重視の教育研究の推進を唱えたものでした。ところが、この教育施策だけでは未来社会に向けた大学の貢献は期待できないとなり、最近では『STEAM教育』へと移行しつつあります。こちらは、サイエンス・テクノロジー・エンジニアリング・マスマティックスに、藝術やリベラルアー新理事長インタビュー青柳 正規理事長未来社会に貢献する、新たな大学文化の創造多摩美がその先駆的な存在を担う

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