©ROBOT映画『つみきのいえ』が国内外の映画祭で20の受賞 短編アニメーション『つみきのいえ』が、2008年に「アヌシー国際アニメーション映画祭」で短編作品に与えられる最高賞のアヌシー・クリスタル賞を受賞し、2009年には日本人監督としては初の栄誉となる第81回米国アカデミー賞短編アニメーション賞を受賞。日本のアニメーションのクオリティの高さを世界に知らしめた加藤久仁生さん。現在はフリーランスとなり、アニメーション制作に加え、絵本の執筆など活動の場を広げている。Takayama Minori 栃木県出身。小・中・高校と卓球部に所属。美術部に所属した経験はなく、高校での選択科目も美術ではなく書道を選ぶ。高2の夏から地元の画塾に通い、日本画専攻に合格した。多摩美出身の美術監督・吉田昇さんのアニメーション背景画『借りぐらしのアリエッティ』 ©2010 Studio Ghibli・NDHDMTW第81回米国アカデミー賞 短編アニメーション賞を受賞日本人監督として初の栄誉に輝く、世界が認めた短編アニメーション加藤久仁生グラフィックデザイン学科客員教授/01年グラフィックデザイン卒Kato Kunio 2001年に映像制作会社の株式会社ロボットに入社。主なアニメーション作品に『或る旅人の日記』『つみきのいえ』『憧憬』など。17年よりフリーランスとして活動。主な著書に、絵本『つみきのいえ』、『あとがき』(白泉社)などがある。研修期間中に髙山さんが描いた風景画美術監督を務める大先輩から直接指導を受け 最新作『君たちはどう生きるか』に取り組む日々 3年次の春、スタジオジブリが約10年ぶりに、若干名の採用募集を行っていることを同級生から教えられた髙山美乃里さん。子供の頃から大好きだったジブリ作品に参加できるかもしれない。そんな憧れから採用試験を受け、見事合格。大学や家族と話し合い、さまざまな条件がクリアできたことから、3年生の10月より契約社員として勤めだし、無事卒業した現在は宮崎駿監督の最新作の背景を描く美術担当の一人として、日々作画を行っている。臆することなく、無垢な気持ちでチャレンジした結果、今がある。 「合格するとは思っていなかったので、採用試験を受けることを両親にも話していなかったんです。当時は、多摩美の卒業生がジブリにいることも知りませんでした」 面接官として髙山さんの前に現れたのが、『ハウルの動く城』、『崖の上のポニョ』など数々の宮崎作品の美術監督で知られる、吉田昇さん(88年油画卒)だった。面接の場で吉田さん本人から、自分も多摩美出身であることを聞かされて驚いたという。その後、合格通知を受け取った髙山さんは大学に籍を置きながら契約社員として勤務を始めるが、制作の都合から約1年半を研修期間として過ごす間は、吉田さんによる直接指導を受けていたという。 「研修期間の前半は、過去のジブリ作品のコピーを見ながの模写。後半は日本画の課題みたいにスケッチを基に好きな絵を描いていいよと。入社してからジブリ作品を見直したんですが、吉田さんの描いた背景は1枚の絵として見られるほどのクオリティだったことに改めて気づいて驚きました。たぶん、今までは凄すぎて雰囲気でしか背景を捉えていなかったんだと思うんです。あの絵が数秒で流れて行ってしまうのはもったいないと思ってしまうほどです」 この春から、宮崎監督の最新作『君たちはどう生きるか』の本制作がスタート。髙山さんはその背景の作画に、日々取り組んでいる。 「今は毎日が楽しいし、うれしいです。でも、それと同時にもっと絵が上手くなければダメだなとも思っています。将来のことはまだ分かりませんが、大学に入ったことで描きたい絵の方向性が見つかったと思っていますので、自分の中にあるテーマを絵として描いていければと考えています」髙山美乃里19年日本画卒 昨年、スタジオジブリの 採用試験に合格し、 宮崎駿監督の最新作を製作中大きな注目を集める作品を生み出す
元のページ ../index.html#8