─作家活動を支えるセルフプロデュース力─「どうして作家になれたのですか?」作家の皆さんにそう問うと「あきらめずに続けてきた結果」「大丈夫だと自分を信じて続けているうちに、いつの間にか」などと「創作活動を続ける」ことの大切さを挙げる声が多く聞かれます。では、なぜ「続ける」ことができたのか。その共通項には、制作環境を整え、活動の場を広げるための「セルフプロデュース」のチカラがありました。このチカラの本質は、単にPRの技術やアピールの上手さということではなく、自分の価値や魅力を客観視し「誰に向けて作品をつくればよいか」を把握することで、効果的な発信や行動ができるようになるということです。現在、世界的な美術市場の活況や、若手作家を支援する動きの活性化に加え、SNSが発達したことで、以前よりさらに若手作家にチャンスな時代が到来していると言えます。また、多摩美でも作家育成の一環としてセルフプロデュース力を鍛える授業が行われています。そうした背景で大きく羽ばたく卒業生の実像、活動を支援する側の声などを通して、作家活動を続ける秘訣に迫りました。ベストセラー小説の表紙や百貨店、美術館での個展も大きな反響を呼ぶ銅版画家 入江明日香さんの場合『DOMANI・明日展』ポスターに作品が起用されるなど、新進気鋭のアーティスト 中谷ミチコさんの場合右=「八月は冷たい城」 著:恩田陸(講談社)下=作品名「Les Quatre Saisons “Hiver”」上=作品名「犬と女の子」 Photo:Hayato Wakabayashi下=中谷さんの作品がメインビジュアルに起用された第20回『DOMANI・明日展』ポスター私が作家として、今も活動を継続できている理由P.4若手作家にチャンスな時代
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