TAMABI NEWS 83号(若手作家にチャンスな時代特集)| 多摩美術大学
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多摩美では各学科や研究室が、さまざまなアプローチからセルフプロデュース力を育成するための授業を実施しています。ここでは、その一部をご紹介します。各学科では、作家活動に必要な知見や実践経験を培う目的で特色ある授業を実施し、学生のセルフプロデュース力向上をバックアップしています。企画展での作家によるトークイベントの模様。Mizukami Yoshihisa 熊本県出身。1992年「ORC200街をかざる彫刻コンクール」大賞受賞。1987年 明日への造形・九州7回展「イメージの突然変異、浮遊と中断」、1988年「臨界芸術・88年の位相展」、2004年「第19回平行芸術展」、2005年「第21回現代日本彫刻展(招待出品)」、2007年「第5回アートプログラム青梅(以後、7 〜10回展)」など出展多数。2011年より多摩美術大学彫刻学科教授。 「TOKYO ART BOOK FAIR 2019」会場での作品展示の様子。7その他◎特別講義 ホール展3年生、4年生が対象。学内ギャラリーを使用し、学生主体で展示を行うだけではなく、キャプションやポスター等、展示に関わることの学習にもつながっている。 作家活動に必要なセルフプロデュース力を育成するために、彫刻学科として取り組んでいる内容について水上嘉久教授に伺いました。「内容的には、『彫刻学科企画展』と『彫刻学科大学院選抜展』が、より実践的でセルフプロデュース力の育成と言える授業かと思います。また、台湾芸大の彫刻科の教員との人脈から、現地で開催される作品展に多摩美の学生の作品を出品したり、実際に台湾へ連れて行くこともしています。ただ、大学院生が対象となるので、大学4年間の学びの中だけで実践力を磨くのは難しい状況なのは確かその他◎版画メディア論彫刻学科企画展毎年1名、若手作家として活躍中の卒業生を招き、学科内のギャラリーにて実施する展覧会。学生から有志を募り、資料作成から展示の手伝い、片付けなどを作家と共に行う実践的な授業。また、作家によるトークイベントでは学生との質疑応答も実施。彫刻学科大学院選抜展年間2名の大学院生を対象とした学外での展覧会。東京・京橋にあるギャラリーを借り、1名2週間、個展形式で行う。研究室の支援を受けながらも、基本的には選抜された大学院生が、資料作成や広報活動、作品の搬入搬出作業まで全てを担当し、修了後の活動のスタートになることを目的としている。その他◎特別講義 …作家、デザイナーを講師に招き、版画制作をど◎特別講義 清水穣客員教授(美術評論家) …美術評論家の視点から作品の指導を受ける。北澤憲昭客員教授(美術評論家/美術史家) 小泉晋弥さん(■城大学教授/美術史家)北澤憲昭客員教授(美術評論家/美術史家) 小金沢智さん(太田市美術館・図書館 学芸員)◎校外学習 …美術館見学、和紙専門店見学などです。大学院までの6年間を一つのセットと考えていただき、作家としてのキャリアの扉を開いていただけるといいですね」学外展、学内展主に3年生、4年生、大学院生を対象に、優秀選抜者などによる学外展示を毎年実施。会場・搬入費やDM印刷費、その他の費用を全面支援。また、大学院生を対象に年に数回、工芸棟ギャラリーでの個展を自主企画させ、DMやカタログの印刷費を支援する。特別講義横浜現代美術館で大規模なコレクション展「Meet the Collection」を担当した大澤紗蓉子さん(横浜美術館学芸員/08年大学院芸術修了)によるレクチャーと展覧会鑑賞。のように他領域に接続したか学ぶ。日本画佐藤美術館にて学生主体のグループ展大学院2年生を対象に、学生が企画、広報、設営など全ての課程を行い、作家活動の力を養うための授業。一般の方々や学芸員、評論家などに観てもらうことも目的としている。会場は東京都新宿区にある「佐藤美術館」。油画藏屋ゼミ3年生が対象。東京国立近代美術館企画課長である非常勤講師の藏屋美香先生による授業。現代美術についての講義を中心に、展覧会見学や教員・助手の作品についてディスカッションを行い、学生の将来的なイメージを形成することを目的としている。工芸国内外のアーティストやディレクター、学芸員やギャラリストなどによる特別講義第一線で活躍する方々の幅広い視野を見聞する機会を作るため、各学年、年数回実施。講師は、ガラス作家、デイレクター、ギャラリスト、哲学者、写真家、建築家など。版画アートブック研究3年生、4年生の自由選択科目。版画において深められた自身の表現を「本」という形式で展開し、出版、流通を前提にした印刷表現としての「本」の可能性を探る授業。今年この授業で制作した本は7月12〜15日、東京都現代美術館で開催された『TOKYO ART BOOK FAIR 2019』に出品され、国内外の出版社、ギャラリー、アーティストら約300組の中で自分の本がどう評価されるかを知る、貴重な実践の場となった。大学院まで含めて、作家としての巣立ちを支援彫刻水上嘉久彫刻学科 学科長/85年大学院彫刻修了

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