TAMABI NEWS 84号(技術が開放する個性)|多摩美術大学
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 世界に先駆けたテクノロジーを駆使した表現で、アート、エンタテインメント、建築、デザイン、広告などの領域を横断しながら常に新たなクリエーションを開拓してきたライゾマティクス。その中で計良さんは研究開発要素の強いプロジェクトを中心に扱い、ハード・ソフトの開発からオペレーションまでを一貫して行う「リサーチ」部門のエンジニアとして活躍中だ。 「ライゾマで最初に携わった仕事は、演出振付家のMIKIKOさんが主宰するダンスカンパ作品のアイデアイメージから グッズ制作まで手がける 『チームラボボーダレス(お台場)』『チームラボプラネッツTOKYO(豊洲)』に代表されるデジタルアートと、WEBサービスやアプリ開発などを手掛けるデジタルソリューションの2分野を柱に、世界を舞台に事業展開している『チームラボ』。レイナさんはチームラボでビジュアルデザイナーとして数多くの案件に携わっている。 「チームラボに入ってすぐ、お台場のアート空間『DMM.プラネッツ Art by teamLab』プロジェクトのメンバーになりました。私が携わる仕事は幅広く、作品展示のアイデアイメージをビジュアライズ(可視化)するほか、ロゴやシンボルマークなどのデザインやグッズ制作に至るまで、まさになんでもやります。空間デザインニー『ELEVENPLAY』とのコラボ公演でした。その後、Perfumeのアリーナツアーにも携わり、マイクスタンドに取り付けたiPhoneで撮影しながら歌う演出で、合成映像のデザインと実装を担当しました。アリーナツアーでの光景は今でも目に焼き付いています。大勢の人の目に触れる仕事が多いので、そこに自分が携わっていることが、まだちょっと信じられないです(笑)。こんな仕事のチャンスをいただけてありがたいなと思っています」 計良さんがライゾマの存在を知ったのも、多摩美在学中に見たライゾマによるPer-fumeのライブ演出がきっかけだった。当時取り組んでいたプログラミングの分野とライ大学でのプログラミングとの出合いが、 自分を変え、「強み」になったそこには常に挑戦を続けるクリエイターの姿がありました。Kera Futa 多摩美を卒業後、慶應義塾大学 政策・メディア研究科修士修了。2018年、株式会社ライゾマティクス所属。現在、技術と表現の新しい可能性を探求するリサーチ部門で、映像作品やインタラクティブ作品のプログラミングを担当。The Raina Rosalia インドネシア出身。日本の繊細なデザインに興味を持ち、独学で日本語を学び、多摩美に入学。卒業後、ビジュアルデザイナーとしてチームラボのメンバーに。星野源の大ヒット曲『恋』で話題となった“恋ダンス”の振付けでも知られる、演出振付家のMIKIKOさんが率いる『ELEVENPLAY』とのコラボ公演『ELEVENPLAY×Rhizomatiks Research×Kyle McDonald “discrete figures” 』(2018)のワンシーンPhoto by Suguru Saito中国・北京でのチームラボ個展「teamLab: Living Digital Forest and Future Park」。には多面的に考える力も必要ですし、学生時代にさまざまな知識と経験を得ていたことが生かされています。私は学生時代から、世界を見据え、常に新たな技術を追求して、自分をアップデートしたいと考えていました。その思いは、社会人になったいまも変わりません。学生の方にもぜひ、これからの社会を見越して夢を描き、それを目指してほしいです」ゾマの使う技術がリンクしていたという。 そんな計良さんだが、最初からプログラミングが得意だったわけではなかった。 「プログラミングに苦手意識を持っている美大生は多いと思うのですが、僕もその一人でした。学科内にプログラミング部ができて、そこで先輩に教えてもらうようになり、先輩みたいになりたいという憧れもあって、少しずつ意識が変わりましたね。『頑張って勉強すれば自分の強みになるかも』という思いもありました。それもあって多摩美を卒業後、慶應義塾大学のSFCに進んだのですが、結果、その時の思いが今につながるきっかけになったのだと思っています」9計良 風太16年情報デザイン卒業レイナ・ロサリア・テイ16年グラフィックデザイン卒業ライゾマティクスPerfumeのアリーナツアーでiPhoneによるライブ演出を実装チームラボ世界を見据えて、常に新たな技術を追求し、自分をアップデートイターたち表現力と最先端技術を武器に、世界規模で注目を集める3社。

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