TAMABI NEWS 86号(2020年度受賞ラッシュ特集)|多摩美術大学
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PROFILE1972年長崎県生まれ 、福岡県出身。大学在学中に独学で靴を作りはじめ、1996年に靴メーカーのバックアップによりオリジナルブランド「archi doom」を立ち上げ、翌年1997年には、自身のレーベル「MIHARAYASUHIRO」を立ち上げる。2004年ミラノコレクションに初参加し、2007年からはパリコレクションでの発表を続けており、ウェア、シューズともにデザイン性の高さと素材へのこだわりが国内外から高い評価を受けている。2020年「General Scale」という環境的責任を掲げたブランドをローンチする。(97年染織デザイン卒業)―― 今回、おふたりがタッグを組んだきっかけを教えてください。三原 GUからお話をいただいたのが2020年の3月で、世間がコロナ禍に陥るタイミングでした。その後、緊急事態宣言が出され、大学が休みになったり就職活動に支障が出たりしているといった話を聞くうちに、若い人たちに向けて何かメッセージを発信したいと考えて。僕自身が多摩美の学生だったこともありますが、次の時代を創造する若者のアイコンとして「美大生」をモチーフにしたファッションをデザインすることになりました。そのCMを撮影するにあたり、ぜひ多摩美の図書館で撮りたいと思ったんです。僕がいた頃にはなかった建物ですが、建築家の伊東豊雄さんの設計で、いろんなメディアで取り上げられていて、卒―― 三原さんは林さんに、どんな風にオファーをしたんですか?三原 僕、林さんに3分くらいしか説明していないんです。「グッド・インスピレーション」っていうテーマで、学生に向けたもので、ちょっとサスティナブル。それしか言ってない。林 あとは図書館がロケ地だってことくらい(笑)三原 「こんな映像にしてほしい」っていうのはちょっと言ってみたんだ、素人だけど。そしたら「ちょっと何を言ってるのかわかりません」って言われて。林 ほんと、わからなかったんです(笑)三原 林さんって怖いなあって思って。名前も作業生として誇らしかった。映像監督も多摩美の卒業生がいいなと思い、林さんにお声がけしました。林 シンプルにうれしかったですね。三原さんと一緒にお仕事ができることも、学生時代に慣れ親しんだ多摩美の図書館で撮影ができることも。―― どうしてあまり説明しなかったんですか?三原 これは賭けじゃなくて、僕の中での正攻法なんです。コラボするうえでいちばん良いのは、林くんが「いや、ここだろう」って感じたポイントを優先してくれること。林くんは今も多摩美で講師として学生と過ごしているし、林くんが見ている図書館の風景の方がリアルだと思うから。林 実はそれ、さっき初めて聞いて知ったんです。だから最初しばらくはすごく探りを入れながら三原さんのことをじーっと見てました(笑)。三原 昔、ロシアのバレエ団とイギリスのオーケストラが10分っていう長さだけを決めて、それぞれ別々に練習して後日ひとつのホールで上演品も知っていたけど、けっこう怖い若者なんだなあって(笑)林 ははははは。まさかそれで怖いって思われてたとは思ってなかったです。12デザイナー卒業生のデザイナー・三原康裕さんが主宰する「MIHARAYASUHIRO」が若者に人気のファッションブランド「GU」とコラボレーション。同じく卒業生で映像作家の林響太朗さんとタッグを組み、 八王子キャンパス図書館でのスペシャルムービーの撮影が実現しました。その完成と公開を機に、撮影秘話や学生時代のことなどについてお話をうかがいました。大人たちはちゃんと若者たちを見ていると伝えたかった 「美大生」をモチーフにした企画で多摩美タッグを結成三原さんと林さんが手掛けた「GU×MIHARAYASUHIRO」のスペシャルムービーInterviewGU×MIHARAYASUHIROのスペシャルムービー制作で人気クリエイター2人のタッグが実現三原 康裕みはら やすひろ多摩美は「明日」をつくる場所そこからすべてがはじまった

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