TAMABI NEWS 89号(世界基準を、超えていく。)|多摩美術大学
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東日本大震災後の東北地方で地域社会の復興とデザインの可能性を追求タイ・チェンマイで持続可能な社会の実現とデザインの役割について考えるPacific Rim 2021テーマビジュアル07世界基準を、超えていく。TAMABINEWS2016FUTURE CRAFT2異文化への理解を深め国際性を身につける絶好の機会 Pacific Rimは1年ごとに開催地を交互に設定し、現地に3〜4カ月滞在して共同研究を行う本学の留学プログラムのひとつです。例年、両校でのセレクションを経て選抜された20名程度の学部生・大学院生が参加しています。 開催地にかかわらず、アートセンターの教員がメインレクチャーを担当し、講義はすべて英語で行われます。災害や環境問題、高齢化社会といった社会問題や、食文化や各国の伝統工芸など生活に密接した日常的な課題などをテーマに取り上げ、アート・デザインの力でどう解決するかをグループごとに研究します。周辺地域へのリサーチトリップやディスカッションを繰り返し、研究成果を作品として発表します。 また、プロジェクト期間中は特別カリキュラムも用意され、テーマに関連したレクチャーのほか、語学研修にも参加することができます。 過去に行われた本プロジェクトで学生たちが制作した作品のいくつかは、IDEA(International Design Excellence Awards)やiF(Industry Forum Design Hannover)といった世界的コンペティションで受賞するなど、非常に高い成果を挙げています。 将来的に海外での展開を視野に入れている本学の学生にとっては、英語力の向上を図りながら異文化への理解を深め、コミュニケーション能力や国際性を身につける絶好の機会となっています。世界的なコロナ禍で両校の交流を継続する方法を模索COVID-19の世界的流行の影響を受けた2020年、Pacific Rimは15年の歴史の中で2011年の東日本大震災以来2度目の活動中止を余儀なくされました。長年継続してきた本プロジェクトにおける大学間、学生間の交流をこのままストップさせてはいけないとの強い思いから、両校の教員間で協議を重ねた結果、オンラインでの開催を決定。2021年10月、「LIGHT × NATURE」をテーマに自然現象と生体模倣の視点から光と自然の融合について探求する3日間のオンラインプログラムを実施しました。両校の学生たちをミックスした少人数のチームでの共同研究というスタイルは変えることなく、アメリカと日本という地理的な距離と約17時間の時差を超えた交流が実現しました。世界有数の美術大学『アートセンター・カレッジ・オブ・デザイン』 アメリカ・カリフォルニア州パサデナ市にあり、グラフィック、イラストレーション、プロダクト、映画やゲーム、自動車など、工業デザインに関わる領域を幅広く網羅した11の学部と7つの大学院課程を擁する美術大学。それぞれの分野で著名な卒業生を多数輩出している。1930年に広告会社の経営者によって設立。2021年12月現在、40カ国以上から集まった2,022名の学生が在籍している。本学とは1981年から交流があり、その中で生まれたこのPacific Rimプロジェクトは、環太平洋地域に属する2大学でより交流を深めながら、新しいデザインの可能性を追求し、世界へ向けて発信していこうという思いから名付けられた。

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