TAMABI NEWS 90号(留学で創る未来)|多摩美術大学
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6月10日〜25日、八王子キャンパス・アートテークギャラリー1Fで、今年度で退職される情報デザイン・永原康史教授の退職展「よむかたち デジタルとフィジカルをつなぐメディアデザインの実践」が開催されました。「情報を《読む》ためのデザイン」を追究し続けた教授自身の仕事をアーカイヴした同名書籍をもとに展開され、活動初期の実験的なデジタル作品やプロジェクト、マルチメディア、アルゴリズミック・タイポグラフィ、展覧会デザイン、エディトリアルデザインなど、さまざまなメディアを横断した膨大な仕事が一堂に会しました。デジタルメディアとデザインの変遷を俯瞰する展示に、学生や卒業生、デザイン関係者など3,000人を超える人が訪れました。「H-221」2021年267x168x197h.cm陶、Ceramics撮影:林雅之4月1日に開館した多摩市立市民活動・交流センターのオープン記念イベントで、油画4年・矢野憩啓さんが描いた黒板アートが披露されました。この施設は閉校した旧北貝取小学校を改修してつくられた、多摩市民の美術や音楽、ダンスなどの活動や交流を支援する場で、イベントは市制施行50周年の記念事業の一環として行われました。矢野さんが会議室のスペースに10日間をかけて制作した黒板アートは桜をモチーフにした作品で、チョークのタッチを生かし、地面に落ちている桜の花や空を見上げた時に見える枝など、自身の体験や想像した桜のシーンを画面上で繋ぎ合わせて描かれています。イベント時に一般公開された後、5月末まで利用者が観覧できるよう残されました。3月31日、学内の研究資料を横断的に活用するための実験サイト「研究ポータル」のベータ版を公開しました。本学の情報シンクタンクとして、知と創造のネットワークを形成するための「メディアネットワーク(MN)構想」実現のために企画、設計、実装されたものです。MNはアートアーカイヴセンター、美術館、図書館、メディアセンター、芸術人類学研究所、大学院などが連携し、本学における創作教育活動を研究という側面から支援していくためのプラットフォームです。研究ポータルは、本学が所蔵する作品、資料、書籍、論文などの情報をニュートラルに収集したデータベースで、学内外の誰でも使用可能です。今後もデータの追加やサイトのアップデートを継続的に行っていく予定です。「デュシャンの極薄と足穂の薄板界(アナグリフ)」矢野さんが桜をモチーフに描いた黒板アート「研究ポータル」トップページ工芸学科の井上雅之教授の退職記念展が4月4日〜23日、東京・京橋のギャラリー東京ユマニテで開催されました。また、現在、茨城県陶芸美術館で約40年におよぶ作家としての足跡をたどる大規模な個展「井上雅之 描くように造る」が開催中です。井上教授は1980年代から陶を素材に立体作品の制作を始め、大型の造形作品を中心に日本現代陶芸の第一線で活躍し、ロクロ成形後に割った破片を作品の一部に用いたり、ボルトで陶のパーツを組み立てるなど、従来の常識にはまらない自由な発想で陶の可能性を大きく拡張してきました。2017年には「第24回日本陶芸展」で大賞・桂宮賜杯を受賞しています。本学大学院修了後、1998年から専任教員として教鞭を執ってきた井上教授は2023年3月に退職されます。16工芸・井上教授の退職記念展を開催回顧展は茨城で8月28日まで学内の研究資料を横断的に活用するための実験サイトを公開情報デザイン・永原教授の退職記念展をアートテークギャラリーで開催多摩市制50周年の記念イベントで油画学生が黒板アートを制作

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