02 常に新たな教育を求める多摩美術大学の原点は、1929年に開校した帝国美術学校に遡ります。さらなる美術教育の向上のために北昤吉校長が唱えた専門学校への昇格、上野毛への移転の構想を巡って分裂し、1935年に多摩帝国美術学校が誕生しました。大学設置後、文部省の設置基準に沿った将来計画のために1960年から八王子校地を購入、1971年に新入生を迎えたところから八王子キャンパスの歴史が始まります。 今回の「八王子キャンパス展」は、その後1994年から始まったキャンパス整備計画に携わって来たキャンパス設計室に大学が企画を依頼しました。今回はその設計コンセプトを紹介しながら多摩美の半世紀を振り返ります。ここにある全ての建物や付随するデザインには、表現によって社会に新たな価値を生み出す人材育成のためさまざまな意図や思いが込められています。キャンパス設計室長(環境デザイン学科)の田淵諭教授らが目指したのは、学生の交流と刺激を促進する空間をつくること。創作に取り組むだけでなく、各学科に用意されたギャラリーで人々に魅せる力を育み、講評会によって思考が鍛えられ、多様な価値観を持った同世代のクリエイターたちと交わることで化学反応が生まれる。創る・魅せる・考える・交わるを一度にかなえることができる空間なのです。田淵教授から伺った話をもとに、あらためてキャンパスの魅力に迫りたいと思います。キャンパス展に見る価値創造の原点創る・魅せる・考える・交わる を一度にかなえる
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