09※WEBサイト上で「学生登録アンケート」としてメールアドレスの登録とともにアンケートを実施。有効回答数は2,726件 実際に講義が行われた会場にはTDUの大学構内をイメージした正門や守衛所などが設置され、美大のキャンパスが再現されました。総来場者数は4,000人を超え、アーカイブ配信された講義動画の視聴者数は4万人、総視聴回数は13万回を記録。受講生を対象に実施したアンケート※によると、全体の約60%が「会社員・団体職員」、続いて約15%が「自営業・フリーランス」でした。また、「何かしらの領域のデザイナーか?」の問いには約55%が「非デザイナー」と回答。この数字について永井教授は、「一般の人々のデザインに対する関心の高さを明らかにすると同時に、コロナ禍で人の生活習慣が変わる中、大学の知を広くなかった人々ともつながり、新しいデザインの位置づけや意味付けを問い直し、研究し、発信する場としてTUBは機能しています。 社会課題は複雑化・高度化し、その解決のために求められる創造性やデザインの力は一部のデザイナーだけが担えるものではなくなりました。広く社会全体がデザイン思考を身につけ、イノベーションに活かすことができるよう、TUBは人や産業間をつなぎオープンイノベーションを推進していきます。届けるための開かれた教育の可能性を感じさせるものとなりました」と成果を振り返りました。 開講された授業は、専門化されたデザインの各領域を突き詰めて考えるだけの内容ではありません。いわゆる、デザイナーとしての技術や知識、教養を修得する授業とは、性格を異にします。むしろエンジニアリングやアート、フィロソフィー、サイエンス、エデュケーションといった隣接する分野において、デザインの領域をどのように拡張・横断していくかを志向する試みでもありました。ここにも、「専門的な技術よりも社会のデザインリテラシーを上げていくことが狙いであり、デザイン的な思考を『民主化』していくことに重きを置いている」(永井教授)というTDUのコンセプトが反映されています。 開催した50講座はいずれもこれからの時代の社会的ニーズを見据えた先端的な内容となりました。行政や教育、AI、バイオテクノロジーといったキーワードがその一例です。登壇する講師陣も大学の枠を超え、実に多彩な分野で活躍する第一線の研究者や実務家が大半を占めます。あらゆる組織や人がまじわり、質疑や対話を通して新しいデザインの本質を問い直しました。昭和大学×多摩美術大学テキスタイルデザイン専攻包括連携協定を結ぶ昭和大学との合同企画。テキスタイルデザイン専攻の学生が昭和大学江東豊洲病院で行った作品展示や医療現場との対話をもとに、テキスタイルの「素材」「色」「形」が人々の心にどう寄り添うか、その効果や意義を考えました。Tama Creative Guild×デュポン・MCC学科を跨いだ学生コミュニティ「Tama Creative Guild」がデュポン・MCC株式会社と共同で人工大理石「コーリアン®」を用いた作品を制作・展示。学生の視点で、素材の特性を活かしたカトラリーやレコードなどの作品を提案しました。社会にデザインをより浸透させていく
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