TAMABI NEWS 96号(問いを立てる力)|多摩美術大学
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11エンタテインメントコンテンツをモバイルゲームや家庭用ゲーム、アーケードゲーム、カードゲームなど多面的に展開し、IT技術やネットワークを活用した新しい遊びを提供。シリーズ累計販売1億本を超える『eFootball』をはじめ、国内外の市場でグローバルに展開中。 ゲームの画面を設計・構成する「UIデザイン」のチームに所属し、『eFootball™』というサッカーゲームを担当しています。チームを選んでもらうときのわかりやすさや、どのようなグラフィックにすれば見やすくなるかなどを日々考えながらデザインしています。複雑な操作や設定もUIデザインでわかりやすく解決しなければなりません。ユーザーが難しいと思わないように、使いやすく、スムーズに遊べるデザインをいつも考えていますが、デザインで苦労した画面が、何の違和感もなく遊んでもらえていたときは、「がんばってよかった!」と思いましたね。 情報デザインコースはプレゼンなど人前で話す機会が多かったので、そこで培った説明力、コミュニケーション力も、今の仕事で生きていると感じています。ゲーム制作はさまざまな分野のクリエイターが関わっているので、専門が異なる人にもわかるように説明しないと、意図していない画面ができあがってしまう恐れがあります。学生時代から相手に理解してもらうための説明を意識してきたことが役立っていますね。 ゲームの新規開発の部署に所属し、人気タイトルの新規のゲームアプリの制作に関わっています。ゼロからゲームを設計していく場合、一度チームに加わると3〜4年開発が続きます。私はおもにUIデザインを担当していますが、多様なクリエイターと職種関係なく意見を交わしながらゲームをつくっていくプロセスは、いろんな領域に触れ、いろんな先生方と話をした統合デザイン学科での学びと似ていると思うことがあります。学生時代の私のポートフォリオは、プロダクトデザイン、CGデザイン、UIデザイン、ウェブ制作、イラストなどさまざまなジャンルの作品であふれ、それがこの仕事に就くうえで武器にもなりました。 学生のときから今も、デザインをするうえで大切だと考えているのは、「かっこいいとは何か?」「かわいいとは何か?」ということを自分なりに定義して、自分の言葉で表せるようにすることです。例えば、UIデザインの場合では、ゲーム画面のボタンの配置や使用する色に対し、「なぜそうしたのか」、その理由をしっかりと伝えるようにしています。言葉でも伝えられることが必要だと感じています。(19年情報デザイン卒)(18年統合デザイン卒)1960年に「国民の文化・厚生・福祉に寄与すること」を目的に設立され、主にテーマパークの運営を行う。テーマパーク内の施設の改修やオブジェクトのデザインを2年ほど務め、現在の部署に異動してからは2024年にオープンするホテルのインテリアデザインを担当しました。ロビーやレストランといったパブリックスペースの家具、造作物や壁紙のグラフィックをデザインしたり、壁に飾るアートワークを制作したりもしました。お子様連れのお客様が多いので、造作物を設置する高さや形状などにも配慮しつつ、安全性やメンテナンスのしやすさなどを考えながらデザインインテントの達成を目指しました。また、アメリカの関連会社との連携もあり、彼らがデザインしたマテリアルや現場の状況確認など、密なやりとりを重ねて作り上げました。 この仕事をするうえで必要とされているのは「物語を大切にする」ということです。店舗のデザインであれば、店主の性別や年齢、どのような性格で、趣味は何かといった人物像を考えてお店をデザインしていくんです。木の柱についた傷ひとつをとっても、職人が雑に木を扱ってできたものなのか、動物がかじった跡なのか、馬をつなぐときにできた傷なのか、その理由を考えて傷の幅や深さを検討します。そうした細部に宿るストーリーをデザインで表現し、積み重ねます。以前にテーマパーク内のレストランのセルフレジの装飾を担当したことがあるのですが、お客様がその装飾から感じ取られたストーリーをSNSで発信されているのを見かけたときはうれしかったですね。ストーリー性を含めてデザインを楽しんでいただけるのが、仕事のやりがいにもつながっています。ホテルの仕事が落ち着いてからは、テーマパーク内の岩や建物の壁や天井などを木のように形づくるモルタル造形にも従事しています。学生時代のように作業着姿で作業をしていますよ(笑)。デザインをするうえで、現場に出たい、現場を知っておきたいという気持ちがありました。現場を理解することは、決して目先の受注担当者の方だけでなく、その向こう側、最前線で作業する職人さんとのコミュニケーションを円滑にし、最終的に制作物のクオリティーにつながると考えています。多摩美で産学共同プロジェクトを経験したことも大きいです。調理器具メーカーのウィンドウディスプレイに携わり、デザインから制作、設営までを担当したのですが、図面を引いて終わりではなく、現場で細かな仕上げまで手がけることで、仕事の精度をより上げられると感じました。あえて慣れないところに身を置き、未知の分野に挑戦することで、常に成長できるよう心がけています。第8テーマポート推建設グループチーフリードエンジニア(13年環境デザイン卒)本記事は連載企画です。さらに詳しい内容や他企業情報はWebでご覧になれます。ゲームエンターテインメント多摩美出身者は、ビジネスの最前線からどのような評価を受けているのでしょうか。また、その卒業生たちが学んだ多摩美での4年間は、ビジネスの現場でどう生かされているのでしょうか。さまざまな業界で活躍する企業人たちに尋ねました。背景やキャラクター、UIデザインなど重要なポジションに多くの多摩美出身者西川優希さん伊藤優実さんテーマパークの細部に宿る「ストーリー」をデザインで表現し、積み重ねる高瀬夏来さんコナミデジタルエンタテインメントオリエンタルランド

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