TAMABI NEWS 96号(問いを立てる力)|多摩美術大学
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問いを02 僕の仕事はほとんどの場合、クライアント企業の経営者や担当者の方との対話からスタートします。その際に気をつけているのは、相手の企業に対して自分が最初に抱いていたイメージを忘れないということです。バイアスのかからない、ひとりの消費者としてのニュートラルな感覚ですね。その印象を持った2021年に国立新美術館にて開催された「佐藤可士和展」。その環境空間は2020-2021年度ADC賞グランプリを受賞したまま相手へのヒアリングを重ねていくと、ヒアリングしている内容と最初の自分のイメージの間にギャップが立ち上がってくるんです。つまり、その企業がアピールしたい強みやメッセージのなかで、消費者に伝わっていない部分が浮き彫りになる。そのギャップがクライアントにとっての課題に直結し、提案を考える上での起点にしています。 クライアント企業からの依頼は、「会社のロゴを変えてほしい」「商品のパッケージをクリエイティブディレクター/アートディレクター/グラフィックデザイン客員教授社会において価値を創造できる人材が求められつつある昨今、美大出身者の持っている「課題を見つけ、問いを立てる力」に注目が集まっています。多摩美の卒業生はどのようにその力を磨き、また、授業ではどのように問いが生まれているのでしょうか。クライアント企業との対話を重ね本質的な課題を明らかにしていくクライアントとの対話から課題を問い直す力本当に解決すべき課題を導き出すには前提を疑い本質を突き詰める思考が重要佐藤可士和89年グラフィックデザイン卒業

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