06ライゾマティクスによるテクノロジーと、ダンスカンパニー「ELEVENPLAY」によるダンスパフォーマンスがコラボレーションした「Syn:身体感覚の新たな地平 by Rhizomatiks x ELEVENPLAY」(2023) 今でこそプログラミングを用いて仕事をしていますが、大学に入るまではまったく触れたことのない分野でした。情報デザイン学科に入学した後もプログラミングはむしろ苦手で……。絵画や彫刻といったかたちのある作品と比較すると、どうしても制作者の“魂”のようなものが宿りにくいような気がしていたんです。しかし、周囲にはプログラミングを駆使しながらかっこいい作品をつくっている先輩がたくさんいて、彼らの作品に影響を受けて練習しているうちに、徐々に楽しさを見出していきました。 現在はライゾマティクスに所属し、映像やインタラクティブの制作を担当しています。仕事の進め方はプロジェクトによってさまざまですが、ゼロから作品をつくるというよりも、依頼されたテーマに沿って組み立てていくことが多いですね。例えば、ライゾマティクスの真鍋(大度)代表からは、新しい企画のコンセプトとそれに関連した大量の素材が送られてきます。それに対して、最も適した表現方法や使用機材を考えながら、実際に手を動かして映像を制作していく。作品のコンセプトやメッセージを自ら考えることはほとんどありませんが、もちろん自分なりの解釈を落とし込む必要があるので、テーマの深掘りは欠かすことのできない作業です。 制作に取り掛かる前に“問い”として設定しているのは、「自ら決めたルールのなかでどんな表現ができるのか?」ということです。技術が進化したことによって、デジタルの世界では無数の表現ができるようになりました。しかし、あまりにも可能性が広がりすぎて、MRグラスを通して見ると、目の前にダンサーやピアノを弾く人の影が現れるライゾマティクス ビジュアルプログラマー・エンジニア提示されるコンセプトに対して表現方法や使用機材を決定プログラミングは「ルール」を与える作業問いを設定し、新たな視点を生む力事前にルールを設定することでデジタル表現の新たな可能性を探る計良風太16年情報デザイン卒業
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