階段を中央に移動することで吹き抜け空間を生み、プレゼンテーションのステージとするなどさまざまなアクティビティを誘発したオフィスケーションを活発化する空間づくりを実現できました。合わせて、階段の踊り場スペースはプレゼンなどができる場としても使える仕様にしました。このように「オフィスとはこういうもの」「階段はこういうもの」という既成概念にとらわれないこと、そして見方や発想を変えて物事を捉えることを意識しています。 空間をデザインするうえで大事にしているのは、そこにいる人が何を思い、どう感じるかという視点です。もちろん事前のリサーチは行いますが、前例を参考にするよりも「自分がそこでどう感じるだろう?」と自問自答しながらデザインに落とし込んでいきます。 以前、病院の建築に携わったときには、入院患者さんや家族の視点に立ち、とにかく病院らしさを感じさせないデザインを心がけました。病院と聞いて思い浮かべるような、無機質で画一的で気分が落ち込んでしまうイメージを変えたかったのです。実際に、メディカルトピア草加病院では、青白い蛍光灯の光上:病院らしさを感じさせない、ホテルのような居心地を追求した「メディカルトピア草加病院」の特床室下:「メディカルトピア草加病院」の廊下は、照明や壁面の色、扉の素材なども一から検討している大成建設株式会社インテリアデザイン室長06人の視点を意識したインテリアデザイン既成概念にとらわれず心地良いオフィスや病院を追求 私たちが仕事でデザインしている「空間」は、人を中心にできあがっていくものだと考えています。どんな居場所にするのかはもちろん、訪れる人にどんな感情や行動を呼び起こすのかまで考えるのがインテリアデザインの役割です。手がける建築はさまざまで、その用途やコンセプトに応じてホスピタリティを感じられる空間、気分が上がる空間といったデザインに結びつけていきます。 大成建設では、建築計画の段階からインテリアデザイナーとして参画できるため空間の骨格となる提案もできるところが面白いところです。とあるオフィスの設計では、当初端に計画されていた回り階段を空間の中央へ移動。吹き抜けをつくり象徴的な階段とすることを提案しました。最終的に提案は採用され、上下階で働く人たちの往来を増やし、コミュニ空間をデザインするうえで重要なのはそこにいる人が何を思い、どう感じるか髙橋洋介[93年デザイン科卒業]
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