(08年情報デザイン卒)(05年情報デザイン卒)「何が本当の課題なのか」と深掘りする観察力は多摩美生が持つ強み第10回世界をリードするDXパートナーとして、テクノロジー・サービスやソリューション、製品などを幅広く提供し、顧客のDX実現を支援する総合エレクトロニクスメーカー、総合ITベンダー。近年はサステナブル事業にも力を入れている。 私は当社のデザインセンターで、幹部社員として多摩美卒業生の仕事ぶりを見ています。社会課題を解決するというテーマは、多摩美生は在学中から授業課題として取り組んでいるので、これまで学んできたことがそのまま社会で活きるのではないかと思います。例えば「何が課題なのか、これは本当にいいものなのか」と深掘りする観察力は、多摩美生が持つ強みのひとつです。そこから何か新しいものが生まれるんじゃないかと私たちは注目しています。今までとは違うビジネスをつくっていくには、今までの成功者の真似をしてもダメです。自分なりの気づきを、これまでの型にはめずに、新しい形として生み出す。多摩美卒業生ならきっとそれができると思っていますし、求められているところではないでしょうか。 プロダクトデザインだけではなく「コト」のデザイン=サービスデザインに対するニーズが高まるなか、社内でもデザインの重要性が年々高まっています。デザインセンターには多摩美の卒業生が15人ほど在籍しており、その半分ほどは幹部社員になっています。当社のビジネスに影響を与える立場にいますので、これからもデザインの価値がどんどん上がっていくと思っています。かかりつけの医療機関が持つ診療データを患者本人が自分のスマートフォンで閲覧することができ、また、患者本人の同意のもと、その診療データを複数の医療機関に共有することができるサービスアプリ「ポータブルカルテ」のUX/UIデザインを担当しています。 個人の診療データはデリケートな情報なので、どうやったら安心して使ってもらえるかということに注力し、試行錯誤を重ねました。現在は札幌医科大学附属病院で稼働し、実際の患者さんに利用いただいているところです。医師や患者さんからのフィードバックを受けながら、繰り返し改善しています。まずは道内の病院間でデータ連携するところから、徐々にこのアプリの導入を全国拡大していけたら。「社会を良くするための仕事」という点で、すごくやりがいを感じています。 学生時代に培われた観察力という点では、大学2年のデザイン・サーヘルスケアが抱える社会課題の解決を目指す取り組みのひとつとして、(96年プロダクトデザイン卒)デザインセンタープリンシパルデザイナーデザインセンタービジネスデザイン部デザイナー/人間中心設計専門家ベイという授業で京王線橋本駅の売店の店員さんの朝のラッシュ時の動き方をリサーチし、どうやってテキパキとさばいているのか、迅速な販売と丁寧な接客について、気づいた点をまとめてレポートにしたところ、先生にすごく褒められたことがありました。 当時は「美大ってかっこいいデザインを学ぶところじゃないの!?」と思っていたのですが、そのとき先生がお話してくださった、「デザインというのは、人と人、人とモノ、人と社会の関係、ものごとの仕組みを設計すること」という言葉がとても印象的で、今も心に深く残っています。多摩美の4年間でインストールされた「プロセス全体をデザインする」ということが、今の仕事にそのままつながっています。アプリでは、社員の出社情報を一覧で見ることができます。サービスのコンセプトを言語化してまとめ上げるところから、どういう体験フローを描けば社員にとって使いたいものになるか、使い続けてもらうにはどういう工夫をすればいいか、仕様を検討するだけでなく、社内でのブランディングや広報、認知度アップなどの一連の活動も、プロジェクトメンバーと考えながら進めました。学生時代から「サービスをつくりたい」という気持ちが強く、多摩美ではサービスデザインの授業を全部取っていました。なかでも1年生のときに出会った講師の先生には、審美性や考え方の面で大きな影響を受けました。「お前のデザインが一番ダサい!」と言われたこともあるのですが(笑)、社会人になると、そうやってしっかりと叱ってくれる人はいません。成長するのも停滞するのも、後退するのも自分次第というところが、学生と社会人との違いだと感じています。Webやパソコン、スマホのアプリのUX/UIデザインを担当し、その後、展示会で使用するデジタルサイネージのデザインやビジュアルに関わる仕事に携わりました。現在はプロダクトマネージャーとして、サービスの成長戦略に重点を置いて検討することが増えてきています。「aerukamo(アエルカモ)」という当社独自のサービスには、有志でプロジェクトを立ち上げた2021年から携わっています。コロナ禍以降、会社全体がテレワーク主体の働き方に移行したことで、社員同士が社内で会うことが珍しくなり、若手社員が「同僚や同期を探すためのサービスをつくりたい!」とデザインセンターに相談しに来たことがきっかけで生まれたサービスです。デザインセンタービジネスデザイン部aerukamoプロダクトマネージャーメーカー08内田弘樹さん富士聡子さん木内美菜子さん富士通企業の人事担当者・卒業生に聞く多摩美への期待と実績
元のページ ../index.html#8