TAMABI NEWS 98号(描くという生き方)|多摩美術大学
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(22年情報デザイン卒)11Customer & MarketingCreative Director(22年統合デザイン卒)コンサルティングエンターテインメント多摩美出身者は、ビジネスの最前線からどのような評価を受けているのでしょうか。また、その卒業生たちが学んだ多摩美での4年間は、ビジネスの現場でどう生かされているのでしょうか。さまざまな業界で活躍する企業人たちに尋ねました。デロイト トーマツ グループの一員として日本のコンサルティングサービスを担い、戦略の立案から実行までを一気通貫で支援。高い専門性、豊富な経験を武器とし、クライアントとともに経営課題や社会課題の解決に取り組む。 近年、デザインの力をブランドの構築やイノベーションの創出に活用する「デザイン経営」が多くの企業で提唱されています。私たちのコンサルティングサービスでもデザイン経営の視点を取り入れることに注力しており、戦略立案などに活かし、クライアントの課題を解決する有効なソリューションのひとつと捉えています。 UX/UIに特化した私の所属チームは、半数が多摩美出身者です。多摩美生は皆、学生時代の興味や学びがいまの仕事に精通している印象を受けます。表現や、美術・デザインに関する知識や経験を根底に、ユーザー体験を高める優れたアイデアを生み出しています。また、何より楽しんで取り組んでいるところがいいですね。 現在入社2年目で、コンサルタントとして主にDX(デジタルトランスフォーメーション)の分野でクライアントの課題を解決する部署に所属しています。「多摩美でデザインを学んでいながら、なぜデザイナーではなくコンサルタントなの!?」 と思う方もいらっしゃるかもしれません。多摩美の統合デザイン学科では、プロダクトやUI/UXなどのデザインについて幅広く学ぶことができるのはもちろん、ブランディングや企画力、プロデュース力を養う授業もたくさんあり、当時から将来の進路の一つとしてコンサルタント職を意識していました。 そのきっかけとなったのが、3年次に所属していた永井一史先生のゼミで、新しいもの/ことを生み出すという課題に取り組んだことです。コンセプトを組み立てるところからスタートするアプローチの仕方に面白さを感じ、デザインをもう少し広く捉えたいと思うようになりました。 数ある業界の中からコンサルを選んだのは、デザインの思考法やスキルの需要が高そうだと感じたからです。実際に入社してみると、現場でのデザインのニーズの高さは想像していた以上でした。いろいろなプロジェクトを任されるなかで、上司から「デザイン的にどう思う?」などと聞かれることも少なくありません。デザインを学んだことが強みになっていますし、期待されるのはうれしいです。現在は官公庁の案件で社会課題を解決するプロジェクトに関わっており、とてもやりがいを感じています。(映像演劇卒)エンタープライズテクノロジー・パフォーマンスコンサルタント1997年設立。東京都中央区に本社を置くIT関連企業。日本最大級の動画サービス「ニコニコ」を中心とした多彩なウェブサービスのほか、イベント、クリエイターサポート、ゲーム、教育など幅広い事業を展開する。 当社のサービスやプロダクトの大半は社内に在籍する約60名のデザイナーが手がけています。さまざまな事業を展開するうえでデザインは大きな役割を担っていますし、我々デザイナーもその認識でいます。 多摩美出身のデザイナーは、点だけではなく、点と点を組み合わせて「線」として考える力が非常に高いという印象です。例えば、デザインのブレインストーミングの際に、一つの視点だけでなくさらにその先を見据えて複数の視点を掛けあわせたような、皆がハッとするようなアイデアを出す場面を多く目にし、その発想力の高さにいつも驚かされています。ニコニコのUI/UXを中心に臨機応変に活躍してもらっており、ありがたいですね。 現在は「ニコニコ生放送(ニコ生)」のチームに所属し、UI/UXデザインやウェブサイトのデザイン、ノベルティの制作などをしています。ニコ生でアバターを使って配信する放送者のためにアバター用のTシャツをデザインしたり、「ニコ生ゲーム」のイベント特典のイラストをデザインしたりと、ドワンゴ独自のアウトプットも手がけています。 仕事をするうえで大切にしているのは、ユーザーの声に耳を傾けることです。良いコメントは励みになっていますし、逆に、厳しいコメントにもサービスを好きだからこその熱量があり、改善すべき点をしっかりと受け止め、次につなげるようにしています。 こうしたユーザー体験を考える基礎は、多摩美での学生時代に培われたものです。所属していた宮崎光弘教授のゼミでは、まずはプロトタイプをつくり、周囲の人たちに見てもらって客観的な意見を聞いたうえで再度思考し、さらにブラッシュアップを重ねるという、思考とアウトプットの両軸を交互に行き来するものづくりの手法を教わりました。自分が良いと思ったものをつくるだけでなく、他者との考え方の違いを意識して制作できるようになりました。この感覚はいまも自分の根幹にあります。本記事は連載企画です。さらに詳しい内容や他企業情報はWebでご覧になれます。ニコニコサービス本部デザインコミュニケーション室 室長ニコニコサービス本部 デザインコミュニケーション室生放送デザインセクション Webグループ デザイナーデザイン思考が企業の課題解決に役立ち、新しい価値を生み出す大髙絵理さん赤星 萌さん発想力の高さを活かし、デザインの力でニコニコのクリエイティブを支える高橋憲司さん森田七星さんデロイト トーマツコンサルティング合同会社ドワンゴ

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