TAMABI NEWS 98号(描くという生き方)|多摩美術大学
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赤18年グラフィックデザイン卒業描くという  生き方イラスト制作の原点は入試課題の「色面構成」個展にて発表された作品『イラストレーション』02イラストレーター/グラフィックデザイナー絵を描くことが好きで多摩美に入学し、技術やセンスを磨いたとしても、職業にすることは簡単ではありません。作家やイラストレーターとして活躍する卒業生たちは、多摩美で何を学び、どのように「描くという生き方」を選択し、継続してきたのでしょうか。多摩美在学中に『第17回グラフィック1_WALL』で審査員奨励賞を受賞した赤さん。現在は書籍や広告、CDジャケットなど多様な分野で活躍しています。魅力的な表情が印象的な作風はどのように生まれたのでしょうか。 僕は中学高校と運動部での活動に熱心な学生だったんです。高校3年間もひたすらスポーツに打ち込んでいて、進路選択で初めて美大への進学を考え始めました。子どもの頃から絵や漫画を描くことが好きだったことに立ち返り、漫画家になろうと思ったのです。浪人して通い始めた美術予備校の先生に「漫画家になるなら、グラフィックデザイン学科という選択肢もある」と教えてもらい、多摩美のグラフィックデザイン学科を目指すことを決めました。 その入試課題になっていた「色面構成」が、現在僕が描いている絵の原点です。もともとは漫画家志望でしたが、何ページにもわたって根気強く描き続けなければならない漫画よりも、1枚絵に集中して注力しきるほうが自分の性に合っていると感じたんです。何より鮮やかな色彩に塗り分けて描いていくこと自体が楽しく、夢中になりました。このときの「楽しい!」という感情の延長で、今も描き続けている気がします。 無事に多摩美に入学してからは課題を真面目にこなしつつ、2年時から自主制作も始めました。1カ月に3枚ほどの無理のないペースで、日記を更新するような感覚でSNSに投稿していましたね。InstagramやX(旧Twitter)のほか、Tumblr(タンブラー)というWebサービスにも作品をまとめていました。その積み重ねもあってか、大学卒業後すぐの2018年に、林真理子さんの『下衆の極み』の装画を描かせていただくことに。これが、個人として初めて受注した仕事になりました。機能や役割まで考えたイラストで書籍や広告を彩る魅力的な表情にこだわりながら言葉でも説明できるイラストに

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