はSNSと時代変化に合わせた媒体で投稿を続けていました。今振り返ると、人の目に触れる場所に積極的に作品を出すことはすごく重要だったと感じます。実際に大学生の頃にいただいた仕事の多くは、pixivにアップした作品を見てもらったことがきっかけでした。 私は制作において、世の中の流行やニーズ、自分の作品に対するフィードバックを研究し続けてきました。pixivに作品を投稿していたときには、サイト内のランキング上位の作品から好まれる傾向を分析し、たくさんの人に絵を見てもらうにはどうしたらいいか考えていました。そのため現在と学生時代のイラストを見比べると、流行が反映されやすいキャラクターの顔の描き方などはだいぶ変わっていたりします。とはいえ、世間の流行やニーズばかりを取り入れていたら、今度は自分のイラストの芯がなくなってしまいます。自分の描きたい要素と、世の中が求める要素。このバランスは今も悩むところですが、この204© SEGA/© CP/© CFMイラストレーター自分の表現を大事にしつつ流行やニーズを徹底的に研究©2020 Pokémon. ©1995-2020 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc.ポケットモンスター・ポケモン・Pokémonは任天堂・クリーチャーズ・ゲームフリークの登録商標です。左から:株式会社ポケモン「ポケモンセンターカナザワ」オープン記念商品の「デッキシールド」(※現在は販売終了)、スマホゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク』内のユニット「25時、ナイトコードで。」4th Single『ロウワー/トリコロージュ』ジャケットイラスト、自主制作イラスト極彩色で描き出す幻想的な世界観のイラストが人気の藤ちょこさん。ライトノベルやソーシャルゲームで活躍し、初音ミク「マジカルミライ 2020」ではメインビジュアルも担当しています。 美大を目指そうと決めたのは、高校2年生のときです。その根底にあった思いは「絵を仕事にしたい」ということ。当時は漫画家に憧れていましたが、イラストレーターや美術教師、ゲーム会社に就職する道も考えていました。在学中に自分の可能性と方向性を見極めようと、多摩美の油画専攻に進学しました。 学生時代は、とにかく作品を世に出し続けていましたね。イラスト投稿雑誌に始まり、pixivが登場してからはWebサービス、さらにつが重なるようなイラストを描きたいと思っています。最近注力している水や透明感の表現は、まさに自分の描きたい気持ちと昨今の流行が合致したポイントでした。 多摩美で特に印象に残っているのは、自由な表現を認めてもらえたことです。当時、自分の描きたいものが明確になってきたことで、課題でもデジタル作品を提出したことがありました。それに対し、先生方は戸惑いつつも否定せず、平等に評価をしてくれました。逆に、無理にファインアートに寄せた表現をして提出したアナログ作品に対して「デジタルの方が奥行きがあって魅力的に見える」と言われたこともありました。絵に込めたものは伝わるし、見抜かれるんだなと。自分が突き詰めたい表現を真摯にやっていこうと思いました。自由に作品づくりに打ち込める環境は、多摩美ならではの魅力です。制作した作品はしまいこまずにとにかく世に出して、チャンスを広げていってもらえたら嬉しいです。『藤ちょこ画集 彩幻境』(玄光社)カバーイラスト千葉県生まれ。ライトノベルやソーシャルゲームなどのイラストや、バーチャルライバーのキャラクターデザイン、ライブ&企画展「マジカルミライ2020」メインビジュアルなどを手がける。画集として『極彩少女世界』(株式会社ビー・エヌ・エヌ)、『彩幻境』(玄光社)も発売されている。ゲームや小説などのキャラクター、世界観を創り出す作品を積極的に世に出すことで成長の機会やきっかけをつかむ藤ちょこ13年油画卒業
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