TAMABI NEWS 98号(描くという生き方)|多摩美術大学
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09幼少期から描いてきた海の生き物や架空の街左から:絵本『わくわく科学ずかん 古生代水族館』(大泉書店)、絵本『ユメノシティ』(フレーベル館)、個展「こた展」の様子こたさんは、空想力に富んだ可愛らしいイラストや緻密な都市を描くイラストで注目を集める絵本作家・イラストレーターです。多摩美在学中より絵本を出版し、SNSでも幅広い年齢層の人々から支持されています。 絵に関して言うと、やっていること自体は子どもの頃から何も変わっていないんです。祖父が趣味で絵を描いていたこともあって、僕も物心がついたときには画材を手に取っていました。最初は現実に存在するものを題材にしていたのですが、現実のものは限りがあるので、それよりも無限に遊べる架空の世界を描くことに興味が移り、空想をイラスト化することにのめり込んでいきました。 学校では友だちと遊んだり部活動に取り組んだりしていて、絵を描くことは完全に個人的な趣味でした。家に帰るとひたすら没頭して描いていましたが、周囲の人に自分の絵を見せたりすることも特になかったです。褒められたりしたいというよりも、ただ好きだから描いているという日々が続きました。 絵本を作り始めたのは、多摩美での課題がきっかけです。1年次に「エディトリアル」という課題があり、写真集やイラスト集など自由に本を制作することができたのですが、僕はそこで絵本を選びました。その作品をSNSに投稿したところ、出版社の方が声をかけてくれて。正直、当時は絵本作家として生きていく覚悟を決めていたわけではありません。しかし、1冊目を制作している間にも出版の依頼をいただき、自分に向いているのかもしれないと考えるようになりました。 僕がこれまでに制作してきた絵本では、海の生き物や架空の街など、自分が昔から大好きだったものをテーマとして扱っています。幼少期から夢中で描いていたイラストの延長線上にあるものなので、とにかく楽しく取り組むことができ、それが絵本作家を続ける自信につながっていきました。好きなものをイラストに落とし込んでいる点は、作品作りにおける強みにもなっていると思います。好きだからこそ、マニアックなものであってもわかりやすく表現することができる。「海の生き物が好き」というところから派生して川の生き物や古代生物を描いてみるといったように、自分の興味の幅を広げたことで、世代を問わず多くの読者から親しみを持ってもらうことができたのだと感じています。 現代の絵本作家やイラストレーターにとって、SNSは重要な発信の場です。僕もコメントや感想をもらえるのが嬉しくて、それが大きなモチベーションになっています。ただ、SNSの評価を気にしすぎる必要はないとも思っています。楽観的なマインドを忘れずアクティブに行動することが、創作を仕事として続けていくためのコツなのかもしれません。2001年、新潟県生まれ。多摩美術大学在学中に絵本作家としてデビュー。著書に『わくわく科学ずかん古生代水族館』(大泉書店)、『たべもののまちABCity』(小学館集英社プロダクション)、『ユメノシティ』(フレーベル館)がある。2023年には初の個展「こた展」を開催した。在学中に絵本作家としてデビューし、3冊の絵本を出版授業で出会った絵本作りが絵本作家への道につながった絵本作家/イラストレーターこた23年グラフィックデザイン卒業

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