TAMABI NEWS 99号(エンタメで輝く力)|多摩美術大学
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『花とアリス殺人事件』BD&DVD好評発売中/発売・販売:ポニーキャニオン/©花とアリス殺人事件製作委員会表現で人の心を動かし感動を呼ぶ02で感じたのは、大規模であるがゆえの調整の難しさでした。多くの制限がある中で、実現できないアイデアもある。しかし、私はむしろそこに挑戦できる余地を感じました。不可能なことを工夫によって可能に変えることができるのではないかと思ったんです。その点、通例とは異なる制作になったので苦労もありましたが、長編作品のつくり方がひとつではないことを知ったことで、映画としての「アニメーション」に興味が湧き始めました。 仕事においてエンタメ作品としての“見せ方”を意識したのは、フリーランスになってから関わった『ガラピコぷ〜』です。NHK E   今でこそアニメーション作品に携わる機会も増えましたが、大学時代は自分の進みたい道が定まっていませんでした。どちらかというと実写の世界に興味があり、卒業後はCMの制作会社に就職。その後、岩井俊二監督のアニメーション映画『花とアリス殺人事件』にロトスコープアニメーションディレクターとして携わる機会を得ました。 初めて参加する長編アニメーションの現場久野遥子さんが監督を務めた日仏合作アニメーション映画『化け猫あんずちゃん』(2024年7月劇場公開)。原作にない「かりんちゃん」のキャラクターデザインも手掛ける。11月15日からGKIDS配給にて北米でも公開予定 ©いましろたかし・講談社/化け猫あんずちゃん製作委員会13年グラフィックデザイン卒業テレの幼児向け番組内で放送されていた人形劇で、私はオープニング映像を担当しました。当然ながら、その映像を観るのは小さい子どもたちです。それまで観客を絞った作品をつくる機会が少なかった私にとって、「子どもたち」という特殊な対象を見据えながらの制作は新鮮で、多くの学びがありました。初めての商業アニメの現場で挑戦できる余地を感じた表現によって社会に新たな価値を創り出す人材を、数多く輩出してきた多摩美術大学。映画やドラマ、舞台などエンターテインメントの世界でも、多くの卒業生が新たな表現・感動を生み出し続けてきました。今回は、エンタメの世界で表現する道を選び、それぞれの分野で輝きを放つ卒業生たちに話を聞きました。初監督作『化け猫あんずちゃん』がカンヌ国際映画祭「監督週間」に選出久野遥子KUNO Yoko劇場アニメ映画監督エンタメで

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