学生時代に制作し、劇場公開を果たした映画『ニュータウンの青春』04 現在は俳優と監督の両面で映像作品に関わっていますが、もともとは制作側に携わりたいという思いがありました。ただ、当時の自分は映画業界にどのような職種があるのかも理解していなかった。そこで、高校に入学する前に、映像製作も行う芸能プロダクションに手紙を書きました。「自分は映画に関わりたいのですが、何から始めればいいのでしょうか?」という内容でした。当然ながら、高校生が映画業界の裏方として働くことはできません。しかし、役者であれば年齢を問わず現場を知ることができるということで、高校生役のオーディションを受けることを勧められました。その選考を運良く通過することができ、僕は石井克人監督の映画『茶の味』で役者としてのキャリアをスタートさせることになりました。 高校入学後も、いくつかの撮影現場に参加しました。普段は会えない大人たちに囲まれNHK連続テレビ小説『らんまん』で逓信省鉄道庁の役人・相島圭一役で出演する森岡さん。左は主人公の妻・槙野寿恵子役の浜辺美波さん(写真提供:NHK)る現場がとにかく楽しくて、たくさん刺激を受けていたことを覚えています。その大人たちのかっこいい姿を見て映像制作の道に進もうと決意し、多摩美の映像演劇学科(2014年4月より演劇舞踊デザイン学科)に入学しました。 多摩美では、現在も一緒に仕事をする仲間に出会うなど、充実した学生生活を送っていました。ひたすら映画監督の顔を観察する石田尚志先生の講義や、演劇のムーブメントを読み解く宮沢章夫先生の講義など、ユニークな授業が多かったことも印象に残っています。並行して、自分の作品を世の中に届けるために、高い意識を持って制作に打ち込む毎日。その結果、卒業制作でもある映画『ニュータウンの青春』は、ぴあフィルムフェスティバルで賞を獲得することができました。 しかし、大学を卒業したタイミングで、監督として一種のスランプに陥りました。早く認められたいという気持ちが先走り、同級生が就職していく様子を見て焦りを覚えたんです。大学の4年間ですべてを出し尽くし、もう自分には描けるものがないと追い詰められ11年映像演劇卒業てしまった。そんな時、当時の事務所の社長から「しばらくは役者に専念しなさい」というアドバイスをもらいます。それが的確なアドバイスで、役者として活動を続けるうち、次第に自信を取り戻すことができました。その後、映像制作や俳優の育成を手掛ける会社を立ち上げて独立することになります。卒業制作で賞を獲得するも焦りを感じていた若手時代NHK『らんまん』など俳優として活躍しながら映画監督としても活動森岡龍MORIOKA Ryu俳優・監督
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