AI時代を先取りする進路選択|多摩美術大学
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花岡さんが手がけた新聞週間特集の見開き紙面12多様な価値観に触れ思考したことが、今もニュースの現場で生きている朝日新聞社は世界の優れた報道デザインを表彰する米ニュースデザイン協会の優秀賞を連続受賞するなど、例年高い評価を受けています。就職活動を通じて先輩デザイナー方のグラフィックのデザイン力の高さや、権威あるデザイン賞の受賞歴などを知り、私もその一員として活躍したいと思い、志望しました。現在はニュース内容を解説するインフォグラフィックスの作成やデジタルコンテンツのビジュアルデザイン、ニュースをテーマにした動画コンテンツの制作などを担当しています。報道デザインの仕事の特徴はスピーディにデザインを考え、アウトプットしていくこと。早いものはその日のうちに、企画物などは2〜3週間くらいのスパンで世に出ます。これまでで一番記憶に残っている仕事は、入社2年目のときに「新聞週間」の見開き2ページの特集です。さまざまな社会問題を構成して自分なりにデザインに落とし込み、イラストも描き、無我夢中でやり切りました。学生時代は、もともと趣味だったイラストをはじめ、スケッチやポスター、立体やパッケージ、切り絵、タイポグラフィなど、さまざまな分野のデザインにチャレンジしていました。それが自分のアンテナを伸ばすことにつながり、現在の報道デザインの仕事でも強みになっています。多摩美で先生方や友人たちの多様な価値観に触れられたことが、社会に出てからも自分のエネルギーにつながっていると感じています。編集局 デザイン部[2019年 大学院グラフィックデザイン修了]清さんが美術デザインを担当したNHKの幼児番組「いないいないばあっ!」のスタジオセット信頼関係を築き、受け手を意識するプレゼン力を培ったデザイナーとして入局し2024年で18年目を迎えました。近年、担当した主な番組は、出演者の多様性をアパートの部屋で表現した「阿佐ヶ谷アパートメント」、幼児に向けた教育番組「いないいないばあっ!」などです。日々の業務では、環境にやさしい素材を採用したり、廃棄量が少なくなる仕様を心がけたりと、NHKの美術は今後どうあるべきかを考えながら臨んでいます。幼少期からテレビっ子だった私は、この業界を目指して多摩美を志望しました。憧れのテレビ局で仕事ができるようになったのは、多摩美での学生生活や課題を通して得られたコミュニケーションとプレゼンテーションの力が影響していると感じています。プロジェクトを進めるためには、相手の話に耳を傾け、自分のことを伝えながら信頼関係を築くことが大切です。また、相手を退屈させないよう、見せ方や話す順番、話し方などを工夫したプレゼンをすることで、意見やアイデアの説得力が高まります。多様な個性を持った多摩美の仲間とフォローし合いながら一つの作品を創り上げていく体験は、ディレクターやカメラマンなど数々の職種による番組制作において非常に役立ちました。あの頃、共に学んだ同級生たちは現在、国内外で賞を取るなど華やかに活躍しています。卒業後もお互いに刺激を受けながら切磋琢磨できる関係が得られたのも、多摩美だからこそだと思います。デザインセンター映像デザイン部 チーフ・リード[2007年 環境デザイン(現 建築・環境デザイン)卒]創造的な進路選択で広がる未来の姿は?朝日新聞社NHK花岡 紗季 さん 清 絵里子 さん メディア編04Interview

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