メーカー編ゲーム編IT編メディア編建築・インテリア・宣伝・広報編ランドスケープ編エンターテインメント編公務員・団体職員編中路さんがグラフィックスを手がけた特集記事「原爆投下前の広島・平和記念公園」の一部多摩美で気づいた「数をこなす力」という自分の強みが、将来を決める手がかりにリアルタイムで変わっていくニュースを素材に、さまざまなグラフィックスを制作しています。突発的な事件をスピーディに図解化するということはグラフィック記者にしかできないことで、スリリングな楽しさを感じつつ、ニュースの最前線に関わっている重大さを実感しています。昨年に携わったG7広島サミットの企画では、戦争前の平和な日常にスポットを当て、当時の広島市内に暮らす人々の生活のイメージを手描きした地図を使って表現しました。取材や資料集めの苦労もありましたが、どうしたら読者に興味を持ってもらえるだろうかと考え、自分なりの表現方法を模索するのは、とてもやりがいのある仕事だったと感じています。私は広島出身なのですが、大学進学で上京し、私がそれまで当たり前に得ていた戦争や原爆についての情報を、友人や周囲の人たちがほとんど知らないということにとても驚き、「ヒロシマ」に関することをできるだけ多くの人に伝えたいと思うようになりました。4年次の卒業制作では、広島への原爆投下という歴史の一部分を、客観的に、冷静に表現した「ヒロシマを読む」という作品を制作しました。指導教員の先生から真摯な助言をたくさんいただき、なかでも「中路はデザインセンスはないけど、地道に数をこなす力がかなり強い」と評価されたことは、いまでも心に残っています。先生の言葉で自分の強みに気づけたことは、いまの仕事を目指すきっかけにもなりました。ビジュアル報道局グラフィックス部[2018年 情報デザイン卒]人気番組「だれかtoなかい」音楽セット。邨山さんはアートディレクターとして番組ロゴやセットなどのデザインに全般的に携わっている。多摩美で培った「ゼロからイチを生み出す視点」が企画を飛躍させるテレビ番組制作において美術やデザイナーの仕事といえば、一般的には「大道具さん」をイメージする人が多いと思いますが、実はまったく違います。オーケストラに例えるなら、デザイナーが指揮者で、楽器を演奏するのが大道具、カメラや照明、あるいは装飾や衣裳、メークといった役割の方で、これら全体で美術の仕事ということになります。つまりデザイナーという仕事には、企画のスタート時点からディレクターと一緒に立ち、自分がつくりたい世界観を描けるという魅力があります。テレビ業界で多摩美生が活躍できる場はとても幅広くあると思います。多摩美では「1(イチ)を生み出す」ということに重きを置いて学びますが、この視点がとても有利。イベントを例にとると、誰を呼んでくるのか、今何が流行っていて何が面白がられているのかなど、ゼロからイチを生むところに美大的視点が入ることで企画に幅が出ると思うんですね。その視点はグッズ開発のデザインや販売方法の展開などにも生きるでしょう。自分で何かを生み出したいのか、それともコミュニケーションの中で膨らませたいのか。やりたいことに合わせて将来を選択する術を、多摩美でぜひ身につけてほしいですね。ビジネス推進局 コンテンツビジネスセンターIPプロデュース部 副部長[2006年 彫刻卒]13多摩美からの進路選択情報を視覚化する発想力や多角的視点を生かせる進路テレビ朝日、日本経済新聞社、毎日新聞社、リクルートなど、発想力や多角的視点、そしてわかりやすく伝えることが求められるメディア業界。近年はデジタル人材にも需要が広がる。TV業界では、CGや美術セットを含めた番組全体の世界観を形づくる重要な役割を担っており、デザイン系、日本画、油画、彫刻、工芸からも人材を送り出している。共同通信社フジテレビ中路 美雪 さん 邨山 直也 さん
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