写真左から人事担当者の粟田峻平さん、卒業生の津賀恵さん。神戸市役所本庁舎24階サテライトオフィスにて20地域や企業のエネルギー対策を促進し、脱炭素の取り組みと市民の方々とをつなぐ「地球温暖化の防止」という大きなテーマに対して、チームでさまざまなプロジェクトに取り組んでいます。主な仕事は、地域や企業のエネルギー対策を促進し、脱炭素の取り組みと市民の方々とをつなぐことです。私は修士課程を修了後、自身の創作活動を続けるなかで、地方自治体の取り組みにおいてもクリエイティビティが重要なのではないかと思っていました。芸術分野の知識や技術には多くの人々の生活を豊かにできる可能性があると考え、神戸市が「デザイン・クリエイティブ枠」を新設するという情報を知り、そのビジョンに強く共感して応募することを決めました。神戸市役所に勤めるなかで知ったのは、チームで仕事をすることのおもしろさです。自分の意見に対して何らかの反応が返ってきますし、「あなたのおかげで助かりました」という言葉をもらうこともあり、それが励みになっています。ひとつのアイデアがどんどんブラッシュアップされていくところにも、チームならではの魅力を感じています。美術大学に通う学生は公務員という選択肢を考えもしないと思います。しかし、神戸市には、芸術分野の強みを活かしながら、やりがいを持って働いている職員がたくさんいます。多摩美は、先生や友だちとの交流を通じて、自分の知らなかった情報と出会える場所です。後輩の皆さんには、大学のインフラを積極的に活用し、幅広い情報に触れることで、将来の可能性を広げてほしいと思います。神戸市環境局 環境創造課(現:脱炭素推進課)[2018年大学院彫刻修了]※情報は取材時(2023年3月)のものです。伊藤さんが携わった展覧会図録の一例。展覧会のほか、映画上映会なども担当する。展覧会の企画運営を通して芸術文化の発信や地域と関わる静岡市美術館は、国内外の美術やデザイン、工芸などの作品を幅広く紹介する美術館です。ここで私は学芸員として、主に西洋美術と現代美術を担当しています。企画や運営、広報活動はもちろん、子どもに絵の魅力を伝える教育普及活動、静岡で活動している作家への取材や調査を行うなど、業務内容は多岐にわたります。私は美術が好きで高校時代は絵を描いてみたりもしていたのですが、そのうち「私はつくることより、観たり研究したりするほうが好きだ」と気づきました。美術史のように文学部で学べる総合大学もありますが、より美術に特化したカリキュラムがあること、また、常にさまざまな分野の制作者に囲まれているという得がたい環境から、美大を選びました。さらに大学案内で「他の美大と比べて、多摩美は展覧会のプロデュースも実践的に学べる」という話を聞き、多摩美の芸術学科を受験。 入学してみて、多摩美は希望どおりの環境だと感じました。専門性を深められたこと、多彩な価値観に触れて視野が広がったこと、さらにゼミでは実際に自分たちで企画した展覧会が実施できたこと。これらの経験がなければ、学芸員という仕事を想像することはできなかったでしょう。今につながる学びを得ていてよかった、と実感しています。学芸員[2009年 大学院芸術修了]創造的な進路選択で広がる未来の姿は?神戸市役所静岡市美術館津賀 恵 さん 伊藤 鮎 さん 公務員・団体職員編08Interview
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