AI時代を先取りする進路選択|多摩美術大学
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メーカー編ゲーム編IT編メディア編建築・インテリア・宣伝・広報編ランドスケープ編エンターテインメント編公務員・団体職員編客席数1999席の本格的コンサートホールと3つの劇場、さらに展示施設などを備える東京芸術劇場。音楽やダンス、演劇などの作品を形にして世に発信するのが仕事私は多摩美時代、ここで得た知識や人脈から視野を広げ、映画や演劇の現場に関わったり音楽イベントを企画したりと、学外での活動にも力を注いでいました。当時から感じていたことは、私は芸術全般に興味はあるけれど自ら描いたり演じたりするいわゆる表現者側ではなく、それを形にして世に発信することにより関心があったということです。卒業後は世田谷美術館の学芸員を経て、音楽やダンス、演劇などの舞台プロデュースを手掛ける小さな事務所に合流しました。そこでは、まだ日本ではあまり知られていない世界中の音楽やコンテンポラリー・ダンス作品を発掘しては紹介し、国内外を飛び回ってネットワークを築いていきました。2012年に就任した東京芸術劇場では、日本を代表する公共劇場のスタッフとして多種多様なパフォーミング・アーツを上演・紹介する一方、企画プロデュースの経験を生かし、劇場のブランディングや環境整備などにも携わっています。企画制作の仕事は多岐にわたり、劇場運営や広報活動のほか、たとえば演劇であれば、主宰や劇作家とともにキャスティングや舞台装置など作品づくりから関わることもあります。また、本劇場の芸術監督であり、多摩美の名誉教授でもある野田秀樹さんとも一緒に仕事をしています。自分が企画制作した公演に心を動かされるお客さまに出会うとき、作品を通してつながれた喜びを感じ、それが仕事の大きなモチベーションになっています。広報営業係長[1988年 芸術卒]前身である富山県立近代美術館を移転・新築し、立山連峰の美しい眺望を臨むJR富山駅北側の富岩運河環水公園内に2017年開館。3階建ての建物は内藤廣(建築家・本学学長)の建築設計によるもの。展覧会に必要なすべてを経験できたことが、いまの仕事に役立っている私が所属する普及課では、教育普及、展示、調査・研究、収集・保管の4つの分野に従事するほか、メイン業務のひとつとして、当館3階の「アトリエ」でのワークショップを企画運営し、幅広い年齢層の方々がアートを楽しめる体験プログラムを開催したり、第一線のアーティストを招いた催しを行ったりしています。学芸員の仕事は人と関わることが大半です。来館されるさまざまな人たちに、自分が企画した意図を理解してもらえると嬉しく、やりがいを感じます。子どもの頃から美術が好きで、作品を作る側ではなく、作品に対する知識を深めたいという動機から多摩美の芸術学科に入学しました。学芸員になろうと思ったのは、大学3年のときに海老塚耕一先生(現 名誉教授)のゼミに所属し「TAMA VIVANTⅡ」と、4年次に所属していた家村珠代先生のゼミの「家村ゼミ展」を経験したことがきっかけです。ひとつの展覧会に必要なモノ・コトすべてを経験できたことは大きく、それがいまの学芸員の仕事に非常に役立っています。海老塚先生が「過ぎていく時間の速度を、ゆっくり流れるようにする方法を考えて行動しなさい」と教えてくださったことは、いまも強く印象に残っています。忙しさにあたふたするのではなく、一旦立ち止まり、落ち着いて考える時間を作りなさい、ということを伝えたかったのだと思います。この教えは学芸員になったいまも意識するようにしています。学芸員[2021年 大学院芸術学修了]21多摩美からの進路選択専門技術や知識をベースに地域・文化芸術の発展に貢献美大から公務員・団体職員への進路は、教職員や、美術館や博物館の学芸員が代表的。加えて近年は、地域創生の観点から事業デザインや広報分野を担ったり、自治体や団体等において、文化芸術の保全と発展、情報発信を目的とする部署での活躍など、デザインやアートのチカラで、他との差別化や価値の創出を図り、国際競争力を高める視点での採用が増えている。東京芸術劇場富山県美術館前田 圭蔵 さん 内藤 和音 さん

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