内視鏡ビデオスコープシステムのGUI(Graphical User Interface)デザイン。主に電子機器の液晶画面をデザインする。06デザインの思考プロセス自体に価値があり、それを学んでいたのは貴重な経験だった現在は主に次世代の内視鏡やそれを取り巻くシステム全体に関わる開発上流のデザイン活動を推進するという仕事をしています。医療機器はだいたい10年スパンでリリースしていくので、長い視点で医療の将来に思いをはせ、「そのときの社会はどういう医療を必要としているか」という、全くかたちのないところからのスタートになります。マーケティングや研究開発などのスペシャリストたちとの議論から生まれたアイデアを図解してビジュアル化したり、プロトタイプを作って医療従事者のかたに現場で試してもらって意見をいただいたり、トライアンドエラーのルーティンを回していくというのが楽しいですね。いろんな知見を得て、皆の思いがかたちになっていく過程に大きなやりがいを感じています。「デザイン思考」や「デザイン経営」といった言葉をよく聞くようになりましたが、具体化してユーザーや関係者の真意を探りながら方向性を示せるのはデザイナーの強みで、そのプロセス自体に価値があると思っています。それを大学時代に当たり前のように学んでいたのは、あらためて貴重な経験だったと思いますね。私は皆を引っ張っていくというよりは、皆の思いを聞いて前に進める「サーバント(奉仕)型」で、プロジェクトが円滑に進むようにコミュニケーションを考えますが、それも大学で学んだ「場のデザイン」や「空間のデザイン」と捉えると、自分にできることはあるのではないかと思って日々取り組んでいます。Creative Center Tokyo Studio 1Senior Manager/UX Designer[2004年 情報デザイン卒]大型商業印刷機のプロモーション映像にも登場した関さんデザイン部門の室長としてオフィスに置かれる複合機から、印刷工場で使用される巨大な印刷機まで多岐にわたるプリンティング製品のデザインに携わっています。自分の背丈よりも大きな機器をデザインする場合には、製品の完成度を高めるために初期段階から仮想現実空間を活用したデザイン検討を行うなど、最新のプロダクトデザインのワークスタイルは私の学生時代の頃からは想像もつかないような変貌を遂げています。私は小学生時代にある著名なプロダクトデザイナーがデザインしたミニカーに魅せられてこの道を志し、自分で一つひとつ調べながらの受験を経て念願の多摩美に入学しました。目的を持たずに別の大学へ進学した友人には、「早くからやりたいことが自分でわかっていていいなあ」とうらやましがられたことを覚えています。卒業後、いったんはデザイン会社に就職しましたが、世界に出たいという思いが拭えずロンドンの美術大学院に留学し、卒業後に現地で就職してデザイナー経験を積んで、今に至ります。多摩美では表現力に加え論理的な思考力、伝えることの重要性、そして徹底的に自ら考えて答えを出すことを学びました。海外や多岐に渡る専門分野との共同プロジェクトを遂行するたびに、可視化する力はすべての領域をつなぐ翻訳作業だと実感しています。総合デザインセンター室長[1997年 プロダクトデザイン卒] 創造的な進路選択で広がる未来の姿は?可視化する力はすべての領域をつなぐ翻訳作業オリンパスキヤノン戸井田 真希さん関 尚弘さんメーカー編01Interview
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