多摩美大入試ガイド 2019
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美術学部 絵画学科 油画専攻 デッサン・油彩油画028《教員コメント》油彩作品では、与えられたハガキに絵を描く手、そしてハガキにはまだ完成されていない絵が描かれている。ハガキに描かれていく絵と、そのハガキを描く手、この次元の違いが、絵の上で同レベルになっていく魅惑。絵画でこそ生まれる表現の魅力がすでにここにあった。デッサンの方も対象に真摯に向き合う姿勢が画面から十分伝わり、とても素直な清々しい作品であった。あと一歩、特に手の存在に踏み込んでいけると、一気に腕、足、上半身との関係が生まれ、人体が生みだす空間の面白さが一層立ち上がったのではないか、と思う。 《教員コメント》デッサンは対象に食らいついて描写しようとする気迫を感じた。人体の形はぎこちないが、肌や髪の毛、服のしわなどの表面をくまなく観察して描きつくそうとしている熱意に魅かれた。油彩は環境を主題にした構図は明快だが、やや説明的に感じる。もっと独自の工夫があってほしい。評価したいのは、気持ちを込めて描ききっている点である。工場の曇り空の様子や、夕焼け空の光の丁寧な描写には見応えがある。 (文責=日野之彦講師)(文責=日高理恵子教授)

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