多摩美大入試ガイド 2019
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美術学部 情報デザイン学科 メディア芸術コース 視覚表現メディア芸術075宇宙船は個人の夢である。この探査機製作者の肖像画は、地球外生命体がどのようなものの受けとり方をするか分からない限り、あらゆる情報はリスクを内包すると考え、個人的な情報でありながらも、のせる意義があると考えたから。《評価コメント》地球外生命体に示す絵を「探査機製作者の肖像画」とする作者の意図は、巧みなユーモアを通して、情報とその受容に対する内省が伺える。町工場を思わせる温かみのある色調が画面を占め、「宇宙は個人の夢」という一言と見事に調和して素晴らしい。地球外知的生命体に何もない部分を加筆してもらい、彼らの思想を知る手がかりとしたい《評価コメント》この作品のタイトル記述にある「何もない部分を加筆〜」を地球外知的生命体が理解し、実際に加筆が可能かどうかは保留するが、コミニュケーションの糸口として問いを設定するのは興味深く、その加筆する何も無い部分が魚影の群れの隙間から漏れる太陽の光芒というのも、地球を豊かにするメッセージを求めているメタファーとして適切だと感じた。もし地球外生命体が絵を見るとして、人間との共通点は宙(そら)であると考えました。また見えるものは共通していますが、人間と同じように宙が見えているとはかぎりません。もしかすると赤や青に見えているのかも、と思い表現しました。《評価コメント》地球外生命体の知覚を考えさせる作品である。光を知覚できる以上、スペクトルをどう感覚的にとらえるかが問題になるという作者の視点は鋭い。色の三原色のバリエーションを通して、これが彼らにどう見えるのかを想像させるスマートな作品である。真空状態の空間に、地球の植物を入れてつくられた「真空植物庭園」を搭載することで、地球外生命体に地球という惑星の美しさを伝えるため。《評価コメント》綺麗な植物が生い茂っている様子がなぜ描かれているのか?作品メッセージによって「真空植物園」であることが判明した。地球生命の存在を知らせるために、動物ではなく植物を選択してとらえていることの意味を考えてみた。到達に要する44年以上という時間は、宇宙にとってはきわめて短いが、地球生物にとっては長い。その時間の感覚が表れている。
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