多摩美大入試ガイド 2019
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美術学部 情報デザイン学科 メディア芸術コース 視覚表現メディア芸術076アルファ・ケンタリウス星系に住んでいたのは44年後の機械化された人間達。本来の人間のありのままの美しかった愛のある姿を思い出してほしい。《評価コメント》アルファ・ケンタリウス星系に住んでいるであろう住人を想像し描いている、その問題に対して正面から対峙している姿勢には好感が持てる。尚且つ楽しそうだ。機械化された人間の姿(男女)は有機的なフォルムと無機的なフォルムが混在した不思議な姿をしている。その造形力も評価できる。これからの私たちはロボットの時代であることを示すため《評価コメント》距離と時間は互換であり、宇宙スケールでの距離はすなわち時間的な障壁でもある。一人の人間の寿命が短いことから、地球外知性とのファーストコンタクトは、双方のロボットや人工知能同士の邂逅になると予測する科学者もいる。そうした中、動物と違って植物は種子いう形態で時空を超えることも可能である。ロボットの手、植物、光(眼)というさまざまな物語を想起させるモチーフを用いて、全体は機械的でありながらも有機的に構成されている。果たして、相手はどのような形状の手(と私たちが呼びうるもの)を有しているだろうか。こちらの惑星では人類と自然が共存していますが、そちらの惑星はどうですか?《評価コメント》二つの世界を繋ぐ不思議な道?橋?SF作家のロバート・チャールズ・ウィルスンの「無限記憶」を彷彿させる世界観だ。その世界観を象徴的な構図で大胆に表現している。赤と青の色の使い方も大胆でそのコントラスト感が功を奏している。地球外知的生命体に、「ずっとあなた方を探していた」と、伝えるため。《評価コメント》見ることと見られることの関係は、人間と地球外知性の間になっても変わらない。視覚の第一の特徴は、離れていても相互に知覚可能であることと、拡大縮小ができることであり、それゆえ遠隔コミュニケーションの基本であることは、相互に理解可能であると思われる。私たちもあなたを探していたし、あなたも私たちを探していたでしょう、という鏡像関係が大胆な構図で描かれている。上下を逆にすることで、大きく印象が変化することも特筆に値する。

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