油画 美術学部絵画学科油画専攻デッサン・油彩(文責=木嶋正吾教授)(文責=小泉俊己教授)028《教員コメント》油彩は、SMキャンバスからギャラリーへ展開できる発想力がすばらしく、静寂な展示空間をグレイの色調で見事に描きだしている。絵を見る人物と作品の中の人物が対峙していて、それらを結びつけるように繊細な線が走っている。見ることと見られること、パースペクティブなど絵画をとりまく構造そのものを作品にしている。デッサンは、明暗のコントラストが明快で力強い。ニットの帽子とTシャツは線描を織り交ぜながら軽やかに描き、イスの金属部分など細部までしっかり観察し質感表現している。 《教員コメント》作者は、キャンバス=描かれる支持体であるという前提をテーマとして、モチーフのキャンバスを想像上で立体的に組み上げ、そこに抽象化した樹木を投影し、高度に計算された絵画空間を作り出している。中心部のより実在感を感じさせる対象と、それを取り囲む中、遠景との複雑かつリズミカルな構成が、見るものを惹き付けるすぐれた作品となった。デッサンは対象を丁寧に観察している姿勢に好感がもてる。ただ油彩ほど魅力を感じないのは、構図にしても質感の追求にしても、ほどほどのところで収まっているのが残念。さらなる探求を望む。
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