日本画油画版画彫刻工芸グラフィックプロダクトテキスタイル環境メディア芸術情報芸術統合演劇舞踊劇場美術一般選抜■■教員コメント木材の移動によって引きちぎられた粘土。この状況になるまでの時間の経過、木材の動きと、その作用が想像できる構成。動きを瞬間として記録する写真的眼差しと、アニメーション̶映像的指向性が感じられる作品。光の描写も美しい。あえて逆光側から描くことで劇的な印象を与えている。教員コメント画面をうまく使った、ダイナミックな構図に目を引かれる。木目を対角線方向に配置したことで画面が引き締まっている。いっぽう粘土の造形にも動きがあり、布ともゴムとも見える工夫によって、手袋が覆いかぶさり、千切れるような印象を生み出している。それらの「動き」を一瞬切り取った「静止画」を描いて、課題に応えている。教員コメント破片となって散らばる白い物体(粘土)のかけらと、鎮座する木材。静止しているものに、動くものがぶつかって、はじけ飛んだのだろうか。衝突でおこる結果によって、動的エネルギーを描こうとしている。砕け散った他のかけらが、どこに落ちたのか不明で、地面に落ちる影の描写に多少難があるように思うが、不動により動を表そうとした視点がユニークだ。教員コメントアニメーションの一コマのような作品である。指のようなかたちをした先端部が、立方体を触知している情景とでも言えようか。立方体が動かされている様子を撮影しているカメラの存在まで感じられるようだ。画面をいっぱいに使っていることで、この場面につづく次の展開を予想させて、実に巧みな構成である。
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