日本画油画版画彫刻工芸グラフィックプロダクトテキスタイル環境メディア芸術情報芸術学統合演劇舞踊劇場美術一般選抜 ■教員コメント「影」という一文字を切り抜いた事で、テーマを絞り切っているが、それが逆に作者の考察や表現に対する執着の薄さを感じさせる。木炭の黒色が全体を覆い、無表情な人物の様相も相まって暗い印象は残すが、この作品の画面上、影がどの様に表象されているのかが不明瞭である。この黒は影ではない。思い込みで描かれ、作者の探究心が見えてこないことが残念である。モチーフ(自分自身であり、影でもある)の観察を基に「描く事」を通してその成り立ちを探る行為はデッサンの重要なポイントの一つでもある。教員コメント児童が投稿したみずみずしい詩をテーマに、その光景を素直に再現しようとしているところに作者の感受性の柔らかさが見える。トカゲの刹那を目撃した人物の表情を自分に重ね合わせて自画像を制作しているが、人物描写に作者の優れた観察眼と表現力が読み取れる一方、トカゲは白抜きになっている。モデルの居ないモチーフに対しての消極的な姿勢が目立ってしまっている。その消極的な解決策はモチーフ同士の関係性を曖昧にし、取り上げた詩の魅力的な構成を伝え辛くしている。教員コメント上へ立ち上がる立体を後退させ、塑造板中央に落ちる影を擦り付けた粘土で表現している。実体のない影を主役に空間を構成している事が面白い。粘土を絵具の様に扱い、影に実体を与えている。薄く伸ばされた粘土はヒビ割れているが、それは意図的ではないだろう。これだけの薄さで粘土を置くと数分もすれば乾燥し、状態は変化する。素材の変化への想像も必要ではあるが、それはこれからの経験で学んでいく。作りこみが甘く、安易な部分も多いが、ここでは作者の興味とアイデアの率直さを端的に伝えている事に好感を覚えた。教員コメント三つのモチーフを一つの山に重ねる様に配置する事で関係性と時間軸が生まれ、その狭間に生まれる陰影の美しさもあって、想像を掻き立てられる。正面性が強く、動きの無い構成にも見えるが、新聞に溢れる多量な情報の中から作者が選択した一編の詩の静寂が感じられる。手には作者の観察に基づいた優れた造形力が見て取れる一方、目の前に存在しないモチーフの表現は固く、独創性に欠ける。そこに無いモチーフに向き合う時こそ、アイデアを凝らしてイメージを解放する姿勢が問われる。彫刻《一般選抜》
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