「手」は全ての造形・創造を生み出す中心的役割を担っています。そして、演劇や舞踊では感情を表現する重要な手段でもあります。2023年度から実技でデッサンを出題している全ての入学試験の、デッサン試験を「手」を描く鉛筆デッサン試験に変更します。出題は、手とモチーフとの情景を描く場合、手そのものの感情表現の情景を描く場合があります。また、演劇舞踊デザイン学科の特色でもある、「光と空間を意識した構成」を表現してください。用紙の縦横レイアウトは自由ですが、画面構図は大きな採点ポイントとなります。自由な構成や構図で独創性と構成力を見ることがねらいです。情景を想定するということは、実空間の形を捉えるだけでなく、ドラマチックな設定を思い浮かべ、心の中の情景を描くことも可能です。魅力ある個性的な創造力と描写力のバランスがとれているかも重要です。出題者の意図を読みとり、創造力で挑戦し採点者を感心させ感動させる解答を期待します。 情景の想定デッサンをしなさい。 レイアウトは縦横自由とする。2. 記名票は右上に貼り付ける。3. 光と空間を意識した構成とする。[出題のねらい]98問題 | 手と配布したモチーフを使った 条件 | 1. B3ボード全面を画面とし、 [教員コメント]今まさに指輪を贈り、左薬指に嵌める直前のシーン。物語を感じ取れる解答である。構図的にも贈り主の見た目で表現されているところがいい。きらりと光る宝石の輝きが効いている。手前の指の描き込みがもう少しあると更に良かっただろう。鉛筆デッサン モチーフ[教員コメント]なんて印象的な作品でしょう。表現力の力強さ、陰影の巧みさ、構図の斬新さ、どれをとっても素晴らしい出来。ワーグナーのオペラ「ニーベルングの指環」の1シーンの様だ。入試の解答を超えた、芸術作品としての評価も出来る。[新・採点基準]・理解力=問題の把握・理解が適切か・表現力= 手の表現、光の意識、空間把握ができているか・描写力= 基本的な表現技術と丁寧な描写力があるか・独創性= 独自の構図や、創造性が感じられるか・感性= 柔軟な発想、魅力ある表現、感動させる力があるか[教員コメント]祈りを捧げるような静謐な解答である。穏やかで柔らかな光の表現がそう感じさせるのだろう。骨格に少し不自然な部分はあるが、指の組み合わせはとても自然な描き方がされている。指輪の部分を少し硬く描ければ、もっと全体の柔らかさが際立っただろう。[教員コメント]指輪を複数描く解答が幾つかあるなか、最もリズミカルな作品。手と指輪の流れが同じで、動きを感じる構成となっている。とても真面目に丁寧に描かれている。劇的な構図や表現に捉われない、このような解答も評価が高い。2023年度入学試験より開始 以下作品は想定問題より鉛筆デッサン [3時間]
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