入試問題集2022|多摩美術大学
115/172

113[教員コメント]人体と空間の相関は濃密である。人物の肌、コスチュームの裾を纏う赤色の絶妙な暖色系が、寒色のブルーの世界に響きわたっていく。つかみ難い静寂な趣の中に佇む人物の存在感は際立っていた。そうした静謐な中に確かに孕まれる作者のエネルギーの描写力にこれからの本画制作に期待したい。[教員コメント]試験当日、紅葉が美しかったと語る受験生。コスチュームに映し出された世界観は背景にまで及ぶ。緊張した中、目に飛び込む紅葉の美しさや朝の空気感、これらの感性の集積を基に描きたいものを素直に描写しようとする純粋性に好感が持てた作品である。日本画の持つ美感にも通ずる要素として大切にしたい。[教員コメント]まるで憂いているかのような人物の表情に焦点が合うと、次にコスチュームのゼブラ柄と背景のストライプに目が届く。憂いがもたらす心情とそれに反して躍動する色彩と筆致に源泉を感じた作品である。[教員コメント]無彩色、モノトーンの中に隠された美しい色感。まるで詩や物語を読み解くような描き手の世界観を感じる。人物の表情、温気が孕むしなやかさ、構図の要素から、作者の詩的な言語性を感じ取れるようで、絵と自分の間にドラマを垣間見た作品である。

元のページ  ../index.html#115

このブックを見る