入試問題集2022|多摩美術大学
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117[教員コメント]デッサンと同じ補聴器からの発想である。丁寧に作られているものの、デッサンに比べると全体的に造形は曖昧で、特に耳の裏側の意図はよく伝わらない。しかし右側の粒状の造形が、耳の奥に寄生する異物のように見え、ムズムズとした肉体的違和感を感じさせる効果がある。[教員コメント]大きな頭部に玩具のような体が不自然に接続している。デッサン同様、新聞記事と作品との関係が曖昧ではあるが、大胆な構成が不思議と作者の普段の趣向を想起させる。また、顔面の作り込みには執着が感じられ、(部分的ではあるが)観察に基づく丁寧な形態解釈から発生した造形には好感が持てる。※立体造形・デッサンは同一作者の作品を掲載しています。[教員コメント]元にした新聞記事は補聴器に関するものである。デッサンとしては平板な印象が否めないが、目の表現は強く、透明感があり、正面を見据えた眼差しに絶妙な形で渦巻が被さることで、補聴器の持つ「音」の要素を超えた心理的奥行きを生んでいる。[教員コメント]逆光の中に佇みこちらを覗き込む自己への観察力が冴えており、少ない手数で人物の存在感を画面に自然に表現している。作者はトンビの飼育についてのページを切り抜いているが、このデッサンに、記事の中からテーマを発見し積極的に関わる意志が見えてこない。出題に対する消極的な姿勢とも捉えられる。

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