入試問題集2022|多摩美術大学
52/172

50[教員コメント]「手と掃除道具」という設問に対して、日常使用の掃除道具ではなく工夫したアイデアが描かれている作品です。専用の掃除道具の先端に力を加えている手と、窓の桟と身体を支える後方の手の関係性に観察力の高さを感じます。光が多く降り注ぐ場所ならではの陰影描写もドラマティックなシーンを作っています。[教員コメント]この鉛筆デッサンから掃除作業を行っている人の姿や環境音、また気概まで感じ取れる程のリアルなシーン設定を感じます。潰れた缶とゴミ取りトングを持つ手の構図もダイナミックであり、縦構図内に広い空間を感じさせてくれます。モチーフそれぞれの質感表現やディテール描写も評価された作品です。[教員コメント]掃除作業の定番である“雑巾掛け”を横構図にて力強く描写された作品です。鉛筆表現での色数の少なさは多少感じますが、手の平に籠った力強さがそれらを打ち消すぐらいに印象的です。指先の力、手首から上の力が今まさに手の平に入ろうとしている一瞬が巧みに切り取られています。[教員コメント]この作品の評価された点は、設定した掃除作業シーンに見合った横構図、その作業描写に即した空気感、細部までの映り込み表現や質感に拘った道具の描写です。手の肉感表現等には多少の難は感じますが、上からの優しい光で下部に及ぼす影の描写も印象的であり、全体的にバランスの取れた作品です。

元のページ  ../index.html#52

このブックを見る