入試問題集2022|多摩美術大学
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74[教員コメント]冬の始まり、セーターを着る瞬間に感じる次の季節の入り口だろうか。一年の中での特別な体験を的確に伝えている。毛糸の柔らかさと暖かさを細い曲線で表現するなど、技術力の高さを感じる。またオレンジのテクスチャを青い大きな面によって引き立てる色の構成力も評価できる。[教員コメント]人差し指を掴む小さな手。ここに具体的な入り口はないが、この小さな手の持ち主が出会うであろう未来の体験の入り口を想像させる。青い背景には、小さな手が力一杯動くことで生まれるシーツの動きを感じる。大人の手とは違う生まれたままの力強さが表現されている。[教員コメント]画面を見た瞬間に輝く光に目を奪われる。微細な光の粒を追いながら上下に目を移すと、真っ黒だと思っていた面に手が浮かび上がり、指輪の箱をそっと開ける瞬間を描いていることがわかる。コントラストを利用して視線が誘導されることによって、新しい関係への入り口を伝えることに成功している。[教員コメント]口は食事をする魚にとっては胃への入り口だが、食べられる魚にとっては生命の出口かもしれない。2つの意味を持つ捕食の瞬間をとらえてシンプルな形をリズミカルに組み合わせることで、楽しい魚の食事の入り口として表現できた。目の動きもそれぞれ違い、魚の嬉しさが伝わってくる。

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