20[教員コメント]自身の体をしっかり見て描いている真っ直ぐな取り組みに好感が持てた。たっぷり塗られた木炭、強い筆圧、決断力のある線、ずっしりとした立体感から、作者の描く意欲が伝わってきた。重心をやや左に移動させることによって構図に動きを与えている点から、優れた造形力を持っていることがわかる。 [教員コメント]油彩=イーゼルを描いているがイーゼルという意味を感じさせない。イーゼルに付着した絵具を描いているが絵具そのものを感じさせない。その付着した絵具を何かしらのイメージに置き換えているように見えるが、特定のイメージを想起させない。この絵画は、何ものでもない(無名)が何かを描いていることは確か(有名)である。自分が抱くイメージをただ再現するだけの絵画とは異なり、再現性と非再現性の両義的な行為を感じる魅力的な作品である。デッサン=これは手であるのか、足であるのか、破綻した遠近感が通常ものが持つ認識としての意味を無意味化し、無名性による純粋経験が喚起するのである。 [教員コメント]文章からイメージを連想する際の率直な着眼点がユニークである。着想をシンプルな構図でストレートに描き切っている点に魅力を感じた。細い指輪が柔らかい皮膚を締め付ける様子が際立ってリアルに描かれている。手の細かいシワや肌の血色が人間らしい質感で生々しく描かれていて、丁寧な観察態度も見て取れた。 (文責=日野之彦教授)(文責=日野之彦教授)(文責=栗原一成教授)
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