入試問題集2023|多摩美術大学
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31[教員コメント]梅の開花を告げる記事を切り抜いた作者。記事に対する考察というよりも、そこから受ける印象を素直に表した回答です。ささやかなアプローチですが、そのさりげなさ故に表現力と描写力が試されます。デッサンは平凡な構成ですが、グラデーションが美しく、しっかりと身体の構造を捉えて、臨場感があります。立体造形では、旋回する抽象形態の先に蕾を捉える三本の指が形作られ、与えられた粘土と塑像板上に広がる空間を伸びやかに使っています。具体性を持った描写を一点に集中させたことでリズムを生み出すことに成功しており、作者が造形的意思を持って課題に通り組んでいることがわかります。[教員コメント]「天気予報」をテーマと設定したデッサンは、画面全てを木炭で描写する大胆な構成になっている。人体の構造的な部分はさておき、一般的な木炭デッサンに止まらない力強さを感じる。左顔面に細部を強調した見せ場を作るなど、大胆さの中にも確かな構成力が見られる。立体造形においても、しっかりと設定したテーマを作ろうという造形性が感じられた。ただ、デッサンにおいては突き抜けるような奥行きの表現が感じられず、平面的な表現となっているのが残念である。※立体造形・デッサンは同一作者の作品を掲載しています。

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