入試問題集2023|多摩美術大学
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32[教員コメント]画面いっぱいに描かれた目を閉じて正面を向く力強い自画像。首に巻いたマフラーに添えられているのが、切り抜かれた記事にある梅の花でしょうか。マフラーの柔らかい描写と、そこからマスク、目元、頭髪と、4層の質の変化が目を引きます。作者が意図的であったかはわかりませんが、その質の違いに着目してもう一歩細部に迫れば更に魅力的な絵になったでしょう。粘土造形は梅の花びらの形から展開された様な抽象形態ですが、花粉の様にも見えます。ともすれば回答が説明的になりがちな出題ですが、作者は言語を飛び越えて造形として説得力のある、ユニークで魅力的な彫刻を答えとしてくれました。[教員コメント]いくつかの球体が表皮を破って突出するような塑像作品は、金属製ベアリングが柔らかな革袋から飛び出す様を連想させた。静と動、硬と柔など相反する事柄が同存し拮抗する様が表現され、空想を掻き立てる魅力的な作品となっている。他方で、マスクに覆われこちらを見つめる自画像は、もの言えぬ様相が捉えられ、もどかしさや停滞感、緊張する日常が細やかに描かれている、抽象的テーマの塑像と写実に徹したデッサンの双方ともに共通するのは、時代の抑圧感であろうが、逆説的に作者の活動への希求も見えてくる。

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