67[教員コメント]荒々しい全体から飛び出して、球体へと変わろうとする物体の様態が描かれている。極小の物体の変化を捉えたスローモーション映像の一コマを見ているかのような驚きがある。画面に対して斜めに位置していて、先端が欠けている独特の構図が緊張感をもたらしている。[教員コメント]物体を描くのではなく、空間を描くような大胆なフレーミングと、光と影の対比がとても印象的である。描かれているのは、巨大なタコの足のようでもあり、有機的な建築物のようでもあり、柔らかく連続的でありながら、動きと切断を感じさせてくれる。[教員コメント]まるで彫刻が複数集められた空間のような趣である。物体の変化をパースペクティブを利用して表現しており、濃淡の付け方にも工夫が見られる。落ち着いた作風だが、構成力がある。[教員コメント]何か画面の外にある大きな塊から弾き飛ばされたような、一瞬の運動をとらえたような力強い構成。しかしその弾き飛ばされた断片は、そうした運動とは別の、ある種の緊張を感じるような、か細く、固着したような形態になっている。そうした運動の弛緩と緊張、的確な空間表現など作者の確かな構成力を感じる。
元のページ ../index.html#69